講演「日常文章の作り方」
四半世紀前、四十歳で月給取り生活に入って一年後(1983)、私は生まれて初めての"講演"を行うことになった。
ペンネーム本橋游(もとはし・ゆう)で、文章に関する本「らくらく文章ゼミナール」を出したのはその年六月である。
世の中にはさまざまな出会いがあるもので、書店に並ぶ数多くの関係書から拙著を選び出した方から電話をいただき、その機会を得た。
ここに掲げるのは、何をどう話すかと考えながら、当日の朝までメモしていたものであるが、現実にどのように喋ったか、もはや定かではない。(2008・01・05 橋本健午)
「日常文章の作り方」
日本損保鑑定士協会 総合研究会(昭和58年10月1日 岡崎ニューグランドホテル9:30〜12:00)
便宜的に、その1
(1)本日のニュース 自己紹介・この本のこと・手紙を書くこと・会議・熊本のこと
(2)身近な例 本日の新聞、ニュース(NHK)
(3)皆さんの例を出して 本の内容 なぜ苦手か、国語教育(畑山博)、しつけ…自動販売機/プロレス(力道山)、報道からことばが乱れる
(4)結論 実際にどうしたらよいのか、「ことばのサイエンス」(日経)
・予備 痛風
《なお、これ以降の"()"は主題で、"・"はそれらを補足し、あるいは関連のものをさす》
*本橋さんとの出会い→本日、初めての講演となる…、
- ○ペンネーム(本橋)で出版→それを本名の本橋さんが偶然、見つけられた(『らくらく文章ゼミナール 200字あれば十分 ラブレターから小論文まで』明日香出版社1983・06/980円)。
- ○なぜペンネームで出したか。本名は橋本といいます(三つの理由:文章はまだまだ未熟/作家の文章ではない/恥ずかしい)。
*本名で出した場合は、どうなるか
- ○友人は喜んだだろうが、それは趣旨に反する。
- ○オリジナルという点で、内容には自信があった。
- ○世の中に有名作家の文章読本を始め、何十冊もの文章作法の本はあるが…
- ○本橋さんとの出会いはなかった…"出会いは運命"
*本橋 游とは?→ペンネームの由来
便宜的に、その2
- ○ここは愛知県の岡崎で、岡崎といえば、今はやりの徳川家康。徳川家康といえば、ホトトギスですね。
鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス 徳川家康
鳴かぬなら 鳴かしてみしょう ホトトギス 豊臣秀吉
鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス 織田信長
これは三人の武将の性格を現わすとして、よく引き合いに出されますが、"鳴くまで待とう"の家康は、いわば待ちの人生 現代でいえば、
栄ちゃんと呼ばれたい佐藤栄作でしょうか。
別にこれにあやかるわけではありませんが、私自身を振り返ってみれば、やはり"鳴くまで待とう"型なのです。
人を押しのけたり、無理をしたり、高望みをしたり、そういうことはなるべく避けてきました。
イヤに消極的な生き方だととられかねませんが、事実そうなんです。世の中には目立ちたがり屋、アクの強い人間が多いようですが、
それがその人の自然な姿であればよいのですが……。
- ○"大器晩成"という老子の言葉があります。いま述べましたような性格ですが、やはり人間として生きているうちに、何かやりたいと思います。
若ければ"天才的"となりますが、そう思わない私は"大器晩成"という言葉が好きでした。中学生のころからですから、アキラメも早かったものです。
- ○ところで、自分から、オレは大器晩成型だというわけには行きません。何を偉そうなことを言って、となります。
私はなるべく自然に逆らわぬように生きてきたつもりですが、それはかなりワガママであったかもしれません。
- ○ところが昨年の春ごろから、何か世の中が変わってきたのです。四十歳を境にして、数年かかってまとめたものが出版されたり
《『父は祖国を売ったか―もう一つの日韓関係―』日本経済評論社1982・07》、それからしばらくすると、勤めの話が出てきました。
本を出してくれるのは内心うれしかったのですが(先方からの自発的な話であって、私が頼み込んだのではありません)、
小さな出版社の社長が、何度も私と会って、酒を飲みながら、私を観察しているのです。
ですから、出したければどうぞという態度をして、変にこびたり、妥協したりはしませんでした。
- ○(1910年の韓国併合に関する、日韓の複雑な歴史を書いた)内容が内容ですから、部数も少ないし、なかなか売れるものではありませんが、
歴史から抹殺されようとしている人物を取り扱ったものとして、私は意義のある出版をしてくれたものと思っております。
- ○もうひとつ、勤めの話のほうですが、私はいままでほとんど普通のサラリーマン勤めをやったことがなく、
ずっとフリーであったようなものです。フリーなどというと聞こえはいいのですが、生活不安定、将来の見通しなし、
家庭不和、酒びたり、などと連想されるものは、ロクなものではありません。
《私の場合、おかげで通風になりました。むかしは金持ちの病気、殿様(帝王)の病気などといわれていたのですが、
いまは三〇代でも、立派にかかるのです。昔は医師の国家試験にリューマチについては出ても、通風の問題はなかったそうです。
まさに、最近の風潮です》
- ○どの分野でも、フリーで稼いでいる人はいますし、有名な人もたくさんおります。私はそのどちらでもありませんが、
自分の思い通りになるというのではなく、なんとなく"お天道さまがついてまわっている"、あせる必要はないと謙虚に生きることを心がけているのです。
- ○これは自然現象に対して、人間の力ではどうすることもできないのですから、変に抵抗するより、"なるようになる"と考えたほうが、
気分的に楽ではないでしょうか。
- ○現に、どこかへ旅行する時、前日まで雨でも、その日には晴れわたるということが何度もありましたし、
たとえとしても、人生いつも曇ってばかりではないということです。
《熊本→名古屋(全日空) 昨日、飛行機の中で、この原稿を点検していたとき、九州は晴れわたっていても、
名古屋が雨もよい、天気がよくないのです。座席ナンバーが13で、金曜日です》
- ○これは、気の持ちようですが、そのとき、自分のことを棚に上げて、人のせいにする、言い訳をする、
ということをしないということです。まずいことが起これば、自分の注意が足りなかったのだと反省すればよいし、
相手があれば、自分の意思を十分に伝えることができなかったのだと思えば、ラクではありませんか。
- ○人は自分と同じようには考えてはいませんし、年齢、立場、そのときの事情によれば、AさんとBさんとがすぐに同じ考えになると思うほうが無理なのです。
そこに、意思の伝達手段として言葉があり、また書いて分かってもらうためのルールが必要なのです。
- ○ごはんを食べるとき 「いただきます」を早口で言うと、子どもなど「イターキマス」(板、来まーす)と聴こえる。
その場合、むしろ「イタダキマス」(板、抱きます)というように教える…
- ○電車/駅のアナウンス 昔は「乗り降り」といっていたのが、いまは「降り乗り」という(現実には、降りる人より、早く乗る人がいる)
- ○言葉の変化 が必ずしも、内容(気持ち)の変化とはなっていない
- ・女中→お手伝い(お手伝いさん) ・としよりの日→老人の日→敬老の日
- ○まともな(普通に) あいさつをしなくなったことが、文章を書く上でもマイナスになっている。
・たとえば、家庭内で、親子兄弟でも、声を出す(声をかける)習慣がなくなった――テレビを見ながらの食事など。
・各種自動販売機…切符を買うときなど、○○まで、大人△枚、子ども△枚、というように、はっきり意識せずに、
○×式にコトが運ぶから、逆に機械が故障でもする(いうことを聞かない)と、蹴飛ばしたりする…
- ○人間はもともと、安易な方向に流れやすいのに、世の中はそれを助長する方向に向かっている
("いたわる"ということを教えないからダメ)たとえば
・駅や歩道のスロープ(車イス用)…健常者が多く利用している
・スクランブル交差点…(美濃部か秦野か都知事選のとき、金沢の例を見習った)もともと人間はルール通りには渡らないのに、さらにルールを許した罪
・エレベーター、エスカレーターと階段の差
- ・言葉は正しく使わなければ… "匿名希望"の脅迫状
- ・昨日、熊本のホテルで見聞したのですが、あるパーティ会場の入口(案内)に"○○総合科学大学 父母 懇親会/交換会 御席"とありました。
ちょっとおかしいと思いませんか。大学生(つまり大人?)の父母の集まりというのも、よく分からないのですが、
次の"交換会"は? 今話題のスワッピング(夫婦交換)を白昼、堂々とやろうというのですかね。これは明らかに、交歓会の間違いでしょう。
気になって近くにいた人に「余計なことだが」と注意したのですが、あとで本当に交換する会だったらどうしようかと思いました。
- ○新聞やテレビ(NHK)、ラジオでのおかしな表現 カメのようにのろのろ走るタートルマラソンを「トータルマラソン」という(あとで訂正していたが…)(NHK)
- ○「久しぶりの青空を満喫した」→「久しぶりの青空(に、行楽気分/お祭り気分)を満喫した」(NHK)
「もろかった犯行隠し 新薬スパイ 『単独犯』やはり企業ぐるみ」→(社会の公器、新聞が犯人の味方をするとは?!)
- ○葬儀の模様の表現 千何百人の会葬者でも「しめやかに…」(決まり文句)
- ○殺人・ケンカ・暴力 の犯人が、大人でも子どもでも、その談話に、「カッとなって…」 みなこんな決まり文句を口にするのか
- ○「仁義なき 新人擁立/田中軍団」→"仁義なき戦い"の真似?
- ○「制裁の第二弾」――ミサイル発射(ソ連、大韓航空に対しての記事)
- ○日本では、アメリカ人のことを外人という。他の国の人には○○人と国名でいう。(アメリカコンプレックス?)
- ○普通に、当たり前として使う言葉に「官製はがき」→郵政省は以前から「郵便はがき」と印刷しているのに
- ・「おでんぽいキミ、大好き!」(電車内の広告、写真…おでんの鍋あり)
- ・"めしキャリ"…「めし付キャリアウーマン」自宅(親と同居)から通勤する女子社員のこと
- ○自分自身がよくわかっていない人
- ・"第三国人"という表現はおかしい―私は"100パーセント日本人です"という人からの抗議
- ・若い人の敬語の知らなさが、けしからん(テレビのインタビュアー)
- ・女性作家の講演 自分のいま調べていることの話をする"限界"
- ○子供にとって
- ・群盲、象をなでる(子供は絵本でしか象を見たことがない、動物園に行って、実物を見て、熱を出した子供がいる)
- ・フランス風洋(・)菓子の店――和菓子の店なら分かるが (洋服⇔和服、洋定食⇔和定食、和魂洋才、和洋大学)
- ・"学童" ―学童保育のこと―子供自身がそういう
- ・"左記の通り"―決まり文句―実際は右側にあったりする(印刷のとき、うっかり)
- ○しつけの問題 おしん(NHKテレビ)箸の上げ下ろし(明治・大正時代?)ハシをちゃんともてない子役に対して、
涙を流しているのは、おかしな話 いまの大人もちゃんともてる人は少ない(タモリももてない由)
- ○独占―ひとりじめ(過大な表現) 独占スクープ(スコップ)、本誌独占手記…手記がいくつもあっては困る 「独占 男の時間」…何のことか、分からない
- ○変な表現
・酒好きのくせに、ちょっとでもアルコールが入ったときは、絶対に運転しない。(→酒好きのくせに、クルマを運転するときは、絶対に飲まない。)
・東南アジアを商用で出張中のAは…《これを日本国内で話すは"旅行中"のほうが無難》
・目立たない陰性な感じを与える人物…(→目立たない陰気な感じを与える人物)
・三十半ば。ベテラン社員の山田は、独身で頑健な体躯。アルコールのほうも人後に落ちない。2時ごろから飲み始めて、5時にはほぼ完全に出来上がっていた。
・こちらに背を向けて、仁王立ちになっているジーパン姿の娘がいた。(棒立ち? 立っている?)
・いわば子飼いの部下だけあって、人並み以上に頭は切れるし、何よりも仕事熱心である。(論理的につながらない表現)
・不平や中傷をいう者は、一人もいない。(→不平を言ったり、中傷したりする者は、一人もいない。)
- ○昨日も新聞関係の人が言っていました。一刻も(締切の)時間を争うし、ライバルとの競争もあり、
しかし、警察など記者クラブでの発表をわりあい鵜呑みにして記事を作るため、誤報と分かったとき、それを理由(言い訳)にする。
(自殺か他殺か/無実の人を呼び捨てにする…)
これは、世間では通らない。一般の人たちも、大きな見出し、とりわけ第一報によって、強く印象付けられるのだから…
日本人には"活字信仰"があり、権威(自分勝手にそう思い込んでいるもの)に弱い
- ・名作や名文句などを引用しないと気がすまないのは、ペダンチック(衒学的)であるし、自信のない証拠である。しかし、この方が尊敬されやすいし、インテリに見える。有名人でもこのタイプが多い。→早く自分の身に付いた言葉を持つべきだ。
・
- "月に吠える"(萩原朔太郎) 《ある新人作家の原稿に。陳腐だというと、怒り出した》
・
- ある立ち食いソバ屋の張り紙に―(立ち食いなのに、椅子が四脚あるのもおかしいが)
間違い防止の為、代金は品物と引換えに前金にて御願い致します。尚、高額紙幣(五千円/1万円)での御支払いは御注文の際に前もってお申出下さい。
(釣銭のない場合は御容赦下さい。)
《まず"前金にて""前もって"が不要だが、最後の"釣銭のない場合"は、どうしてくれるのだろうか》
- ・大韓航空 合同葬儀の記事…事件から既に三週余の月日がたったが、("月日"ねえ…)
- ・オホーツク海―ソ連では"ウソーツク海"という(このダジャレを言った人はいない)
- ・水鉄砲⇔鉄砲水、女王⇔王女(『小学生ための 国語に強くなる辞典』旺文社950円)
10月1日《本日》
- ○先ほど(9時ごろ)佐世保港に入港したはずのアメリカの原子力空母について、新聞によってカールビンソン⇔カール・ビンソン と二通りの表記がある。
- ○NHK、昨日のニュース解説で乗組員6000人、今朝のニュースで取材記者は5500人 といった。
- ○中日新聞(10月1日)10・12についてのアンケート自民党議員に無記名でといいながら、なぜ派閥が分かるのか。これでは、無記名ということの意味にはならないのでは。
- ○「衣替え」NHK、7時のニュース「服も長袖になりました」(シャツでは?)
- ○新聞の見出し(1)「発言 関脇、小結も降格の特権を」(→降格に特権を)、(2)「雨なんの老人パワー熱戦/ゲートボールは老人のもの」《対比すべき"若者"などがないと、ちょっとキツイ》
- ○Aは客を店内の応接セットへ招きいれた。(→応接室〈応接間〉に)
- ○火災の罹災者というものは、どういうわけか交通事故や傷害事件の被害者とちがって、興奮はするが、あまり悲しみの色は見せないものだ。Aさんもその例で、むしろうれしそうに声を上げて、Bさんの手を握った。
- ○畑山 博(作家)の近著『心が痛い』…家庭内暴力の一因は、国語力の欠如にあると指摘/受験勉強では国語はあまり重要ではないと、ないがしろにされているため、子供の国語力が極端に低い。
そこを大人の言葉で攻められる、言葉で自分の思いを表現できないから、子供は暴力で反撃する……対話不足ではなく、対話ができないのである――と。
- ○国語だけの学習塾が都内にある。…国語がすべてということで、算数の応用問題ができない子供が多いが、これは本を読む習慣がなく、文章を理解する力がないから――したがって、算数・理科が苦手となる。
結論
○報告書を短時間でまとめるには、どうしたらよいか。
- ・必要最低条件は何か? をピックアップする。
- ・この報告書の最重点は何か キーポイントを押さえる。
- ・結論をはじめに書く(あとで、その要点を捕捉する)
- ・箇条書きにする
- ・見出しをつける
- ・文章は、デアル調か、デスマス調か。
- ・あるいは、相手(保険会社)を想定して、敬語・丁寧語などをどうするか。
(主文…ていねいに書き、説明…デアル調にするとか)
- ・客観的に書くか、主観をどこまで交えるか?
- ・大相撲 物言いがついて協議――その説明のときに「ただいまの協議について、ご説明いたします」ざわついている場内、いきなり本題に入らない、注目させるため
余談…33歳、痛風の予兆 38歳、発作が起きる
- ○昭和50年8月14日(終戦の前日)、左の足首に痛みが出、荻窪のA病院へ行くと、シップして冷やせという。薬をもらって、一週間もすると治った。
しかし、疲れか、寝冷えか、酒の飲みすぎか、靴がいけないのか、理由が分からない。
- ○翌年、また夏になると、なんとなく痛くなりだして、8月17日に、やはり左足が痛くなった。熱を持って、歩けない。
今度は練馬の病院に行くと、熱線を当てて、温めろという。――これも10日ぐらいで、なんとなく治ってしまった。
温めても、冷やしても治るなんて、いい加減なものだと思った。そして、日本が戦争に負けたことと関係があるのか?と。
- ○二度あることは三度あるといいますが、三年目の夏が近づくと、なんとなく足首がおかしくなったものの、
お盆が過ぎたので今年は大丈夫、やれやれと思っていると、9月中旬になって、やはり痛くなり、前年と同じ病院で温めると、
10日ばかりで歩けるようになった。
- ○いずれも短期間で、何という病気か分からないから、理由・原因も分からずじまい。
それから3年ばかり、何ごともなかったので、やれやれと思っていたのですが、一昨年の春のお彼岸の時に
(いつも何か曰くありのときなのですが)、
- ○朝、起きようにも、足が痛くて、どうにもならない。「また、出たか」と思いましたが、今度は左ではなく右足首ですから、
今度は何だろうと不安になりました。いろいろ大学病院に行きましたところ、痛風というのです。
- ○痛風とは、お年寄りの病気、殿様の病気だといわれていたと思うので、金持ちの、いずれの条件にも当てはまらない私のようなものがどうしてと、
不思議に思いましたが、近ごろは食生活の洋風化で、三十代でも痛風の発作が出るというのです。
- ○さあ、昔の観念では、このほか、リューマチとよく混同されるそうですが、神経痛のようなものではありません。
ご存知のように、血液中の尿酸の数値が高いと、主に足の親指の付根あたりに、その結晶がたまると、痛くなる(発作が出る)というわけです。
- ○ここでいろいろ気がついたことは、教授ともなると、黙って診察して、インターンにドイツ語・英語で指導している。
そして、患者の私には、実に懇切丁寧に教えてくれる(これは一回だけ)。
- ○それからは、若い助手が診察してくれるが、可もなく不可もない。痛いですか、発作が出たら、いつでも来て下さいという
(しかし、発作が出たら、痛くて歩くのも困難なのだ)。時には助教授に当たると、よかったですねえ。
下手をすると、知らないうちに、心臓や腎臓がやられて、命取りになりますよと。
- ○発作という表に出ただけ幸運だったのですよ。日ごろの行いがよかったということですねと、変なホメられ方をされ、
何となくうれしくなるから不思議です。
- ○ところが、最近(2か月に1回診察)はかなり若い助手に代ったものですから、また戦々恐々です。
元気がいいのはともかく、酒をあまり飲んじゃダメですよとか、このまま節制しないと、10年後には必ずダメになりますよとおどかすのです。
- ○食べ物では、焼き鳥とくにモツはダメ、枝豆など豆類はダメ、それを原料とする豆腐もだめだという。
これなど安くて栄養があるからいいと思っていたのに、しかも大好物のものを―これでは、どうしてよいか分かりません。
- ○しかし、前の医者は、プリン質というのが含まれているベーコンなどがいけないというだけ、どれが絶対ということではないことが分かりました。
- ○つまり、文章もこれが絶対というものはなく、この方が望ましい、このようにしたほうがいいよという気持ちで書いたものですから、
もう一度そのつもりで読んでいただき、利用していただきたいと思います。
- ○今朝4時に起き(前夜12時ごろに寝た…BGMはビバルディの「四季」を一日中やっている)
- ○各地方での会議と日本人(団体旅行) 口実、利用の仕方 日本人は"群れたがり"
- ○熊本城・岡崎城など、城のもつ現代的意義―殿さま、広いスペース、駐車場
- ○台風による明暗
- ○ホテルで思ったこと 昔の旅館―次の間つき、床の間、生け花、掛け軸、二食、仲居さん? お茶お菓子(名産品) その代わりチップを置いたが(とくに女性同伴のときなど)、
- ○いま、ビジネスホテル コンパクト、愛想もない、狭い、サービスがない しかし、テレビの出現のおかげで、それが可能になった。
その次に冷蔵庫、そして、今やビデオの時代 早く一人になりたいわけです……日本人は群れたがり、かつ、一人になりたがる
《ビジネス特急、ビジネスガールBG→OL》
- ○仕事がマンネリ化していないか その打開策の工夫を! 飽きないようにするには、意欲を持つようにすること
- ○保守的
- ○事後処理―医者でも、予防医学が考えられているように、やり方はあるはずだ
- ○火事(事件)が起こらなければ "放火" パブリック・ロス・アジャスター
自らネクラになってしまう(収入が少ないから、"文章"にも力を注げなくなる) ワープロなど機械化すべき
- ○ NOTICE 本来の"ご注意"にすべき ("7時に閉まる"と冷蔵庫自体に書いてある。このあたりにホテル側の心理がうかがえる。見事な本音と建前)
その下の(お願い)は赤字で
・どうぞご自由にお召し上がりください(「どうぞご自由に」は「タダですよ」に近いニュアンス→これは、下手をすると、文句をいわれる。
意味は「自由に取り出せるが、飲んでも飲まなくても、一度取り出したものは、自動的に(フロントで)料金をチェックしております。
それでもよろしければ《お客に選択の自由を与える》、どうぞ勝手にやってください」)…料金の明示がないのは不親切(ビデオ使用については、かなり親切だけど)
料金は自動的にフロントでチェックされます
/一度取り出したものを中にもどすことはできません
英文(赤字で)please take any item in the refrigeration.
(英語では"冷蔵庫の中のものは…"と書いてあるが、日本語で書いていないのは不親切…大体分かるけれども)
- ○カラオケ(カラのオーケストラ) "放っておけ" "棺おけ" "風呂オケ"
- ○このホテルに電話をしまして、本橋さんをお願いしますというと、二人いらっしゃいますという。どちらの本橋さんでしょうという、
専務理事の本橋さん、ソウイチロウさんですという。待っている間に考えた。本橋さんは、夫人同伴かな。あるいは息子さんかな? というのは、
名簿を拝見して、親子相続というか、"相伝"の感じがありましたので。
- ○でも、駅を降りてから、タクシーのなかで考えました。ア、そうか。私がもう一人の本橋さんとなっているのだ。
本橋さんとはそういう話になっていたのだ…と。フロントに着いて見ますと、案の定、もう一人は読めない"本橋 游"さんでした。
優秀の優でないところがミソですが。
今日は10月1日(土)
- ○今朝のホットニュースをお知らせします。昨夜、皆さんがお部屋で、2チャンネルつまりビデオ2種類を観た人は数十人いたそうですね(先ほど、フロントで聞いてみたのです)。
さすが鑑定人協会の人たちだって! ずいぶん長い間(8時から12時まで)、鑑定していましたよって。ウソですよ! そんなこと。冗談です。
チェックアウトするまで、分かりません。後で調べたら、私の部屋のがいちばん高かったりして。
- ○しかし、プロレスも考えてみたらハダカですね。昔(大阪にいたころ聞いた話)、ダンナ、いい写真がありますよ。
"シロシロ"ですよといわれて、高い金を出して買って、汽車に乗ってひそかに取り出してみたら、なんと大阪城と姫路城の写真だったりして。
カンカンになって怒っては見たが、後の祭り…。これが分かる人は・・・・・・、
- ○今度の台風10号では、各地で被害が出、死者も多数出ました。また、そのため、今日欠席された方が多いと、聞きますが、ご苦労様です。
- ○私も、マスコミ関係の全国大会が29,30日と熊本であるため、28日に出かけなければならなかったのです。
ところが、台風が居座るというか、130数名のうち、四国の分を除いて、ほとんどの方が出席されたのです、
なかなか、熱心なものです。東京からの人もいろいろ工夫してやってきました。前夜から夜行で、第一便の人は早々と新幹線に。
私は2時に、5時ごろ、新大阪―新神戸で、集中豪雨でストップ、京都に泊まって遊ぼうとか、博多まで行こう、ホテル代はどうなるか、……
以上、メモはここで終っている。
余談だが、日本雑誌協会に勤務していた時代(1982・10〜95・12)、"文章・漢字"関係について執筆したのは次の通りである(いずれも本橋 游)。
『らくらく文章ゼミナール』明日香出版社1983・06
「わかりやすい文章ゼミナール」『自己啓発』No.112日本HR協会1984・07
『どんな感字こんな漢字』評伝社〈共著〉1988・02
『漢字面白辞典』日本漢字検定協会〈共著〉1988・02
テキスト『わくわく3000漢字マスターコース』3冊、日本マンパワー1990
「あなたの個性を生かす文章表現とは」『自己啓発』No.153日本HR協会1991・05
『実践 短文の書き方』日本能率協会マネジメントセンター1993・08
テキスト「文部省認定 漢字能力検定 模擬試験集」日本マンパワー1993
依頼先は明日香出版社・日本HR協会・評伝社・日本マンパワー・日本能率協会マネジメントセンターの5社だが、
明日香出版社と評伝社(日本漢字検定協会)をのぞき、事前にいずれも接点・面識はなく、書店等で私(本橋游)の本を見てとの連絡から始まっている。
この種のものだけかもしれないが、依頼を受けるのは名のあるなしではなく、どれだけ特色のあるモノが書けるか、ということではないかと改めて思う。
もう一つ余談だが、勤めながらの"アルバイト"禁止というところは多いだろうが、これらは仕事時間中に原稿を書いていたわけではない。
要は、自分の時間をいかに使うかであって、どのような生き方も否定されるべきではない。人生は、他人と同じことをやっていてはいけない。
さらに、一日は24時間、どのようにコントロールするか、だけのことである。 2008・01・04 橋本健午