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「ミニ自分史」(41)「君のこと、調べた…」身許調査 その1

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 採用時に、履歴書・身上書だけでなく、推薦者を信じ、それまでの評判は悪くなくても、興信所を使って身許調査をするのは、 雇う側にとっては"安心"のために必要なことであろう。そこで、特段の問題がなければ、まずは安心と、調べたことなど、 おくびにも出さず、「採用!」とか、「是非、うちに来てくれ」などということになる……のであろうか。
 企業(雇い主)によっては、彼(あるいは彼女)の、何に重点を置いて調べるのかさまざまであろうが、組合運動などに神経質な組織や企業は、 その方面に重きをおくのではないか、という感想をもつのは、私自身の"体験"からである。まず、採用時に、型通りの調査をしたのは、 止むを得ないと思った。賞罰をはじめ、とくに問題になるようなことは何もないはずだから。
 しかし、"期待"したことが何も起こらなかったからか、責任者に「君の奥さんに会いたい」といわれて、唖然としたものである。 その時、採用年齢(40歳)にぴったりであった私には、たしかに妻子はいたが、いまさら保護者を必要とする年齢ではないだろうと、 その要望には応じなかった。
 勤め始めた当初、責任者は耳にする、私の"評判"に気をよくしていたようだが、どうも予想外に"良すぎた"らしく、 何か月もしないうちに、私を貶める方向に向かっていった。
 なぜ敵視されるのか、人から教えられるまで、私は気がつかなかったが、単なる部下としてではなく、 私を強力なライバルと見ていたそうだ。
 それから、二、三年経ったころ、業界の関連団体で、組合の連中が騒ぎ出し、挙句に、そのリーダーと私が親しいのではないかと、 両所の責任者同士は疑心暗鬼になったらしく、ある日、私は責任者に呼ばれ、「君のこと、調べた」と、とつぜん言われたのである。
 何のことか分からなかったが、彼は「だから…」もなく、「何のために」もなく、その一言だけで終った。 当然であろう。何をどう調べても、彼らの期待するようなものは出てこないからだ。
 私は"徒党を組む"のが大嫌いである。性に合わないばかりか、数を頼んで何かをしようなどというのは時間とエネルギーの無駄である、 と常々思っているのだが、ことさら人前で、公言するものでもない。ついでに言えば、先のリーダーとは、仕事柄よく会い、 たまに酒を飲んでも、組合のクの字も語り合ったことはない。
 要するに、目の上のたんこぶ、目障りな二人をそろって、追い出そうという、それぞれの思惑が一致した"計略"であったようだ。 その後、そのリーダーは暴力事件などもあり忌避されたが、これは私には関係がない。
 一方、私は与えられた仕事とその延長上のことはするが、それ以外のこと(仕事時間中の一日ただゴルフや、面子が足りないときのマージャン要員など)はしない、ノンポリであった。
 ところが、辞めるまでの年月の大半は、多くの人たちに責任者が貼ったレッテルのまま見られていたのだった。


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