「教育は何をめざす?!」その1
いよいよ、数年後には「小学校英語 必修化へ/中教審専門部会報告/高学年から週1回」(東京06・03・28)となるそうだ。
何のためか。「国家戦略としての英語教育の充実を図る必要がある。次世代を担う子どもたちに国際的な視野を持ったコミュニケーション能力を育成する必要がある」からだそうだが、
言葉は"美しい"が中身は空疎ではないか。小学校で英語を習えば、「国際的な視野を持ったコミュニケーション能力」が育つのだろうか。
日本語もまともに喋れない子どもたちが、各国のネイティブ教師にその国の歴史や伝統、思想を吹き込まれても大丈夫なのかしらん。
せっかくの教育基本法改正で"愛国心"を植えつけようとしている矢先に、それでは逆効果ですぞよと、わが愛国心がうずく??
一方、「『研修は?』『負担は?』/小学校英語必修化へ 教師に不安広がる/問題山積、議論はこれから」だが、
「教える側の反応は/『ハローしかいえない』『興味ない子に強制禁物』…」(いずれも東京)などとあり、現場は大変であろう。
1年前に私は「小学生に英語、の先にあるもの?」と題して、「それぞれの立場や思惑によるものだろうが、日本語より英語が大事という発想は、
もうほとんど"君が代"より"星条旗よ、永遠なれ"を国歌にしようという方向性を感じる。…」(「飽きずにエッセイ」05・03・30)と書いた。
2か月後にも「日本語が大事か、英語が…」(05・05・25)で、まずは"日本語から"と書いたのだが、ここにきて強力なライバルが現われた。
「熱烈 英語/中国、3億人超が学習/『母国語』の人口上回る?」(東京06・03・27)によると、中国で英語を学習している学生や市民は3億人を上回っているそうだ。
中国政府は英語の普及政策に熱を入れ、小学校1年から3年までに、英語教育をスタートさせているという。
大学進学率は約21%で、わが国に比べまだ低いのだろうが、その数なんと2300万人という。
やはり日本としては、英語教育は小学生からでなく、幼稚園から始めるべきかしらんと、わが愛国心はまたうずく?!
「教育は何をめざす?!」その2
差別化と差別は似て非なるニュアンスの言葉のようで、この国では「差別」はいけないが、「差別化」はよろしいようだ。
都教育庁が、七つの進学指導重点校である都立高校の今春の大学合格状況を発表した。日比谷、西、戸山、八王子の四校では、
東大など難関国公立大学の合格者が95人で、指定前の平均合格者数に比べ約57%増だったとし、「指定校は着実に実績を伸ばしており、
今後も生徒の希望をかなえたい」とのたもうた。他の三校は青山、立川、国立をさす。難関校とは東大、東京工大、一橋大、
京大の四大学とかで、これに国公立医大医学部医学科の現役合格者の数が対象らしい。
さらに、公立の中高一貫校も増えている。都立では白歐、小石川、両国など五校もあるという。
こんな一部の高校と大学だけを"優遇"するのは、高校全入から大学全入の時代となった今、教育の機会均等などというお題目は空念仏に等しいということか。
何か、おかしくないかえ!?
ついで、教科書の話。07年度から使用される高校の教科書では、学習指導要領の範囲を超える「発展的な学習内容」が盛り込めるようになったため、
内容がより難しい教科書と、反対に学力の低い生徒向けの平易な教科書も増えたという。
このような時代を反映してか、小さな子どもを持つ父親向けの雑誌が次々に創刊されているという。
ある編集長曰く「40歳前後の父親は教育への関心が非常に高い。現代の家庭は地域や世代から孤立している」かららしいが、
よい教育環境を設けるにはそれ相応の金銭的余裕がいる。しかし、社会全体からいえば、さして裕福でもない家庭もあるだろうし、
勉強嫌いの子どももいる。
少し飛躍していえば、このところの"教育改革"は、幼少時代から選ばれた少数の「勝ち組」と大多数の「負け組」を、
国家をあげて合法的に生み出す作戦のようだ。
「お金の誘惑、欲望の誘惑」
住所不定の元エストニア日本大使館二等書記官(36)は、16歳の少女に5万円を渡して、ワイセツ行為をした疑いで逮捕されたとき、
「外務省職員でありながら、欲望に負けてしまった」と容疑を認めたという。普通の会社員であれば「…でありながら」とは言わなかっただろう。
これでは、自覚しているのかいないのか、"エリート"気取りだけが先行しているのでは。
一方、カラ出張を6年間も続け242件1700万円も着服したNHK職員(43)は懲戒免職になったが、
「いつか発覚すると恐れていたがやめられなかった。(不祥事続きのNHKが)改革に取り組んでいる中、大変申し訳ない」と謝罪しているという。
だれに対してだろうか? 不正の動機は、「服飾費などでクレジットカードの支払いがかさみ、旅費を不正に受け取る方法を考え実行した」という、
このプロデューサー、何を演出したのか、というより自作自演?!
上司は薄々感じていたというから、組織のずさんさに驚く。受信料を"税金"のように思っているNHK職員のことだから、
隠蔽工作もふくめ、役人と同じ感覚なのであろう。
続けよう。40代と30代の無職夫婦は、スーパーマーケット3か所から電化製品などを盗んでは換金して、
遊興費に当てていたそうだ。この夫婦、代金支払済みの"印"として、あらかじめカラーコピーしたその店の包み紙などを盗品に貼り付け、
堂々と持ち出していたという。ある種、頭がいいというのかもしれないが、捕まって曰く、ゼイタクをしたかったからだとか。
動機が"純粋"だなあ。
ところで、刑務所では別々の房に入れられるだろうから、さびしいだろうなあ? それとも、次なる作戦でも練っているのだろうか。
一方、こんな例もある。「業者ら3人山分け/回収廃品から2200万円/窃盗容疑で書類送検」(東京06・04・20)によると、
回収した電化製品の中にあった現金約2200万円を、回収業者(53)とリサイクル会社のアルバイト(37歳と19歳)の3人で山分けして持ち帰ったものの、
それぞれ最寄りの警察に自主して曰く「大金で恐くて使えなかった。ほっとした」そうだ。
そうです、分相応に生きることです。同じやるなら、先のNHK職員のように、こつこつと地道にやることでしょうかねえ?!
(以上、06年4月25日までの執筆)