ひたすらコラム目次

「ひたすらコラム」 2006年12月上旬号

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「周回遅れ…」
 先のアメリカ中間選挙で、共和党が敗れ、レームダック状態のブッシュ政権。"大義"のためのイラク戦争が、 終結どころか混迷状態となっており、民主党も米軍は撤退すべきだというが、ブッシュはまだ拘っているという。
 ともあれ、この選挙結果は、イラク戦争はまちがいで、早く撤退すべきというのが多くの国民の意見であった。 いま求められるのは、中東地域の各国との調整を元にイラクの安定化に向け、どのようにすべきか、という段階らしいのに。
 ひるがえって、わが日本のアベ首相は、どのように対処しようとしているのか。真っ先にブッシュを支持するため、 アメリカまですっ飛んでいった先代コイズミに倣ってか、二年後にアメリカは民主党政権となる?というのに、 相変わらずブッシュのイラク政策をほとんど無条件に支持しているそうだ。
 ここで、似たようなことを思いだす。日本での"政策"の浸透(上意下達)は2、3年かかるという実態がある。 つまり、国(政府・中央省庁)の決めたことを都道府県レベルに下ろし、さらに市町村、すなわち国民に近い行政が実行に移す、のにかかる時間である。
 いまのいじめ・自殺問題でいえば、文科相が"緊急メッセージ"を出したが、現場はこれから「いじめの定義」を見直そうなんていう段階。 それが実行されるころには、また別の問題が起こっている……。当事者子どもたちが救われないのは、いまも昔も変わりはない。
 タイムラグ(時間差、時間のずれ)という言葉もあるが、トラック競技「1万メートル」での、トップに数周遅れで走っている選手、 というほうが当っている。
 これは、日本人特有のものなのか、役人根性なのか、判断に迷うところであるが、本来の国益も国民の幸福も考えていない、 ということだけは確かである。ではいったい、だれが得をするのか?

「知事の仕事…」
 さいきんの知事連中は、何だか"談合"をしているみたいですなあ。福島、和歌山に続いて、九州にとんで宮崎県は安藤知事である。
 この際、名前はどうでもいいのだが、「宮崎県知事が辞職願/談合事件の混乱で引責 関与は全面否定」(東京06・12・4)によれば、 県議会で不信任決議を受けた同知事は「県政混乱の責任は重大。職を辞することで混乱の長期化を避けたい」といい、 談合事件の関与は全面否定し、「今後も身の潔白を主張していく」のだそうだ。 しかし、潔白なら、まだ1期目で未練も残るだろうに、やめる必要もないのでは、と思うのは素人の見方か。
 一方、県民はどう見ているか。友人から届いたメールには次のようにあった。
 「今回の不祥事は恥ずかしいかぎりです。知事には潔さがないね。地方財政は厳しく、全般的に公共工事に頼る部分は大きいくこのような談合事件は常に起こりうる背景があります。  かつて38年間続いた自民党が倒れ細川護煕内閣ができたとき、各地の自治体で同様の不祥事が相次いで発生したが、まさに今日の状況に似ています。
 わが国の政治もそろそろイギリス、フランス、アメリカのように政権が交代しつつ国民の期待に応えることでなければ、 傲慢になるのではと思いますね。来年の参議院の選挙ではなにか起こりそうな気がしますよ。
 都会の人には判らないと思いますが、僕は小泉の採った政治姿勢には共感するところはなく、極論すれば地方の住民は「角栄的」な故郷に軸足を置いた政治も必要と考える昨今です。 政治には情もなければ…。(浪花節になりそうですね。)」
 ずい分、憂えていますねえ。しかし、示唆に富む内容ではある。地方では談合事件は起こりうる、政権はときどき交代することが必要、 今度の参院選は何かが起こりそうだ、政治には情がなければ…。
 そして、"都会の人には判らない"とあるが、これは庶民のことは永田町も霞ヶ関も関知しない、という意味ではないかと変な納得をしそうな私はおかしいか。

「みんな"電通が悪い"?!(電信柱が高いのも…、郵便ポストが赤いのも…)」
 政府主催のタウンミーティングでの謝礼は"やらせ"発言者への5千円だけだった、わけではない。2001年度の52回の場合、 運営を委託した広告代理店「電通」に、企画・運営費の名目で支払っていた金額は7400万円余だったそうだ。 随意契約の総額の7.9%にも上るという(ここでは、なぜ入札制にしなかったのだろう、という問題ではない)。
 その企画・運営費の実態は、運営にかかわった電通社員への人件費で、内訳(日当)は局次長10万円、部長7万円、主幹5万円、 主務4万円、社員3.5万円だったそうだ(ここでは、やっぱり出世しなければ、という問題ではない)。
 さて、本題に入ろう。いま、少年の非行やいじめの問題で、学校が悪い、家庭や地域がもっと関わらなければ、 などという以外に、一部ではテレビのバラエティ番組なども問題視されている。
 その大人たちの生活はどのようなものだろうか。住宅やクルマのローンを抱えていたり、中には借金だらけで、 口利き料をアテにする成田市長のような御仁もいる。そこまで行かなくても、家ではバラエティ番組を見ながら、 バカ笑いをしているかもしれない。
 子どもにケータイを持たせたり、化粧品をあてがったり、テレビ番組に触発されたり、コマーシャルに乗せられて高い買物や"流行"に振り回されているのも、 コイズミに続くアベの支持率が高いのも、すべて? 電通を頂点とする広告代理店の"商売"に、目くらましをくらっているだけだ、という説がある。
 民放がタダなのは、企業等がCM料を払っているからで、低俗番組であろうがなかろうが放映される。 中にはCMの間にドラマやスポーツ番組がという例もあれば、ニュースも時に犯罪を助長させかねない、とか。
 そうか、電通などがなければ、CMも流されないし、俗悪番組もなくなる、無駄な買物もしなくなる……。 健全な家庭や社会が保たれるっていうことを言いたいわけか。まだるっこしいなあ、お前の話は。 それって、風がふけば桶屋がもうかるってこと(の逆)じゃないのかい!?

(以上、06年12月6日までの執筆)


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