ひたすらコラム目次

「ひたすらコラム」 2006年11月下旬号

11月上旬号       12月上旬号


「警察官は、悪事を働く…」
 郵便局強盗や万引をする警察官も"人の子"であろうが、「巡査部長が下半身露出/千葉県警、書類送検」は46歳で、 何人もの女性に、下半身を見せたとか。よほど自信があったのでしょうねえ?!
 さて、われわれ善良な市民にとって、事はもっと深刻だ。「警官にも家庭訪問/相次ぐ不祥事に"強制捜査"/ローン額など把握へ /警察庁長官」(東京06・11・17)によれば、群馬県警の巡査部長が郵便局強盗で逮捕(懲戒免職)されたことに絡み、 同庁長官は再発防止策として、「(都道府県警が)個々の警察官の家庭を訪問し、身上を把握する必要がある」との考えを示したそうだ。 今年前半期に懲戒処分を受けた全国の警察官と警察職員は194人で、昨年同期より49.2%も増加しているからだという。
 今回の事件は、多額の借金が動機と見られるため、再発防止にはきめ細かな生活指導が大事で、自宅建築のローン額、 返済は可能かどうかなどをチェックできるようにしたいと、家庭訪問の必要性を述べたのだそうだ。
 いやあ、至れり尽くせりですなあ。そういえば、警察署には"生活安全部"などという部署があるが、 これは職員用として機能していなかったということか?! しかし、これじゃあ、いくら警察官を増員しても、 彼ら以外の犯罪者に対応するには、手が回りませんなあ。
 かつて、私は「警察官の増員で、増えるのは?」(似非エッセイ03・9・17)で、警察官の不祥事があとを絶たないこと、 ついで「警察官も人の子」(懲りずにコラム04・3・3)で、増員すれば、警察官の犯罪や事件が"一定の割合で増える"であろうなどと書いたが、 いま多様化、多発していることまでは、さすがに予想できませんでしたねえ。

「文科省の定番?! 『お願い』文書」その1
 自殺するとの"予告"を、小中学生である当人たちが文科省あてに知らせるというのも流行っているらしいが、 それを受けてか、学校(先生や校長)は頼りにならないからか、家庭や地域社会が"子どもを守る"ようにと、 文科省はまたお題目を唱えたそうな。この17日、伊吹文科相名で"いじめ自殺の連鎖を食い止めるため" として子供向け、 大人向けに「お願い」文書を出した。
 子ども向けでは、いじめている側に対し「弱いたちばの友達や同級生をいじめるのは、はずかしいこと」 「仲間といっしょに友だちをいじめるのは、ひきょうなこと」とし「後になって、なぜあんなはずかしいことをしたのだろう、 ばかだったなあと思うより、今、やっているいじめをすぐにやめよう」と呼びかけ、いじめられている子どもたちには 「だれにでもいいから、はずかしがらず、一人でくるしまず、いじめられていることを話すゆうきをもとう」と呼びかけたのだそうだ。
 文科相に届く「予告」はもう少し多く漢字が使われているのに、この「お願い」は、ひらがなが多い割に内容が難しいし、 「ばか」なんていう言葉は禁句じゃないのだろうか。とまれ、どのレベルを想定しているのか、さっぱりわからない。
 一方、父母や教師などには「いじめられている子どもにもプライドがあり、いじめの事実をなかなか保護者等に訴えられない」としたうえで、 小さな変化も見逃さないよう、子どもとの対話や地域の連携を訴えている、のだそうだ。 なんだか、空疎ですなあ。文科省の役人の“学力”も相当落ちている証明かしらん?!

「文科省の定番?! 『お願い』文書」その2
 "定番"といったのは前例があるからだ。ドラマの真似からか、少年によるナイフを用いた殺人や傷害事件が起こった1998年、 テレビドラマで人気タレント木村拓哉が使用するバタフライナイフが排除されたほか、文部省は3月10日に町村文相名の緊急アピール 【子どもたちへ】「〜ナイフを学校へ持ち込むな〜/〜命の重さを知ってほしい〜」を発した。
 本文に「私は、いま、全国の子どもたちに訴える。/最近、君たちの仲間によるナイフを使った事件が続いている。 /人を傷つけること、まして命を奪うことは、絶対に許されない。/命を奪われたひとたちは、二度と帰ってはこない。 /亡くなった人や傷ついた人たちのお父さん、お母さんや家族の悲しみがどんなに深いものなのか、それを知ってほしい。 (一行アキ)/そこで君たちに訴える。/ナイフを持ち歩くのはもうやめよう。/学校に持ってくるのもやめてほしい。 /君たちが明るく前を向いて行動してくれることを、切に願っている。(一行アキ)/君たちにもう一度言おう。 /悩みや不安は、遠慮なく友達やお父さん、お母さん、先生など大人たちに相談しよう。/私たちは、君たちの言葉を受け止めたい。」
 これは、中高生向けだったか、多少は論理的といえるが、何、このような文書を出せば、後は各自治体の教育委員会や警察の仕事であって、 その結果がどうなることか知ったこっちゃないのは、中央官庁の"限界"だそうな…。
 さて今回は、文科省に負けてはならじ、あるいは自殺は他人事ではないと思ったか、全国の公立中学校の校長でつくる全日本中学校長会も同日、 都内で緊急理事会を開き、生徒に「決して自殺を考えないで。死んではいけない」などと呼び掛けるアピールを採択したそうだ。 生徒に「いじめで悩んだ生徒は相談して。いじめは絶対にいけない。必ず解決できる。いじめを乗り越えることで皆さんはさらに一歩成長するはず」などと求めるそうだが、 だれに"相談"するのか明記されていないのは、なぜ。
 アピールは他に、校長、保護者あてもあるというが、この文脈からすれば、校長用には「これまで以上にもっとうまく対処しよう。 われわれが自殺しないで、生き延びる方法についてお互いに知恵を出そう」などと、あったのかしらん。

「やらせ、の大安売り」
 "やらせ"なんて、テレビ局の"定番"だと思っていたが、さいきん話題の談合なんてのも知事のヤラセのようで、 福島県、和歌山県につづいて、宮崎県の知事も危なそうだ。
 この際、他の心当たりある方たちを含め、「弱いたちばの友達や同級生をいじめるのは、はずかしいこと」 「仲間といっしょに友だちをいじめるのは、ひきょうなこと」とし「後になって、なぜあんなはずかしいことをしたのだろう、 ばかだったなあと思うより、今、やっているいじめをすぐにやめよう」の"いじめ"を"談合"と置き換えた文書を送ってはどうか。
 そうだ本題は、内閣府が仕組んだ、教育基本法改正問題に絡む、タウンミーティングでのやらせだった。 「教育改革 タウンミーティング/"世論偽装"揺らぐ信頼」「教基法改正 際立つ『賛成』/他のテーマも検証へ」(東京06・11・18)によると、 タウンミーティングは小泉首相の就任直後から、閣僚らが国民と直接対話する集会を開き、政策に反映させるためだったという。
 全国各地を回り、"一般参加の国民"に"自由に意見を述べてもらう"前提だとかで、01年6月から始めたそうだが、 今回問題となったのは、教育改革がらみで、表向きは「対話のきっかけにする」とか「議論を盛り上げる」ためだったとするが、 政府自民党の都合のよいような"世論"形成を目論んでいたはずだ。しかし、内閣府は何を企んで、そこまで"偽装工作"していたのだろうか、 新聞等はそれを究明すべきだ。
 この分だと、09年度から採用される裁判員制度でも、そのとき選ばれた裁判員が、どのような判断をしてよいかを迷う前に、 Aさんには「有罪だ」といわせ、Bさんには「懲役○年以上の厳罰に処すべきです」などと、5千円を払って、 くれぐれも棒読みしないでと念を押して、なんてことも起こりかねないなあ?!

(以上、06年11月21日までの執筆)


ご意見、ご感想は・・・ kenha@wj8.so-net.ne.jp