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「ミニ自分史」(104)感想を求められて

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感想を求められて

 謹啓 ご著書『お客さんに寄り添って』について、私自身および30〜60代の数名(男性を含む)による感想その他について、お送りさせていただきます。

 都内での話し合い(昨年夏ごろ)では、あなたの経験したことを元に、どうすれば“接客”が上手くいくかを本(活字)によって伝授したいということでした。
 本書はそういう思いを元に、これまでのさまざまなエピソードも加え、綴られたものと思われます。

 ところで、私は何回か、お会いした席で、次のようなことを話しております。
 ア)初級・中級・上級の三段階での作り方/イ)箇条書き/ウ)項目ごとに見開きで、
 エ)また、頭の中にあるさまざまなケースを整理する⇒カード化し、区分けする(これに関して、「ネタ帳」があるとのことでした)
 オ)読者対象は?/バージョンとして、(1)特定の業種向け、(2)一般向け(市販用)という考え方 などについて…

 これらは、本造りの“ルール”ではありませんが、私自身ハウツーものなどを書いた経験から、自分の伝えたいことを誰に向けて発信するのか、 そのためにはどのような書き方をすればよいかという観点から、常に忘れてはならない事項だと思って、お話しした次第であります。

 さて、ほとんど拝見していない段階で恐縮ですが、上記の諸観点から述べれば、まずオ)が、はっきりしません。
 誰でも往々にして、自分の知っていることは“相手”も知っていると思いがちです。 日常会話ならば、それでもよいのですが、本(出版物)は不特定多数の“見知らぬ”読者を相手に情報を発信するわけですから、 本書の場合、そのメッセージが希薄に見えます。

 表紙に写真があり、カバー裏に写真とプロフィールもついているというかもしれませんが、 人気タレント本のように中味よりも他の要素が優先される場合はともかく、“読者”は「こんな本が欲しかった」とか、 「これを若いものに読ませよう」などと思い、手に取ったり、買ってくれたりし、あるいはどんな著者かなと想像するものでしょう。

 さらに、お客は表紙(タイトルを含む装丁、オビのメッセージなど)によっても、どんな本だろうと手に取るものです。 そして、まえがき→目次→(中身パラパラ…)あるいは、あとがき、というように“点検”して、 先の肯定的な客のほかに「私の求めているものとちがう」、「なにが書いてあるのか。よく分からない」などと否定的に受取る場合もあるでしょう。

 タイトル…
 “接客”をする業種は、数限りなくあると思います。そのような“読者”、それぞれのイメージも千差万別でしょう。 さらに、どの業種に属する方でも、年齢も性別もちがえば経験もちがう、成功した人とそうでない人、悩んでいる人、辞めたいと思う人、 経験豊富と未熟な場合、もっと上達したい人、新人に与える何かノウハウ本はないか、などなど。
 そういう点で、このタイトルと中味は、多くのお客(読者)を迷わせることになると思います。

 表紙…
 上記の観点からすると、書かれている内容(対象業種?)は、18ページに小さくある〔お断り〕によって、初めて分かるのと同じく、 カバーや表紙に文字情報が多いにもかかわらず、抽象的な言葉が並んでいる印象です。 つまり、お客は「?」と思い、そこで、本書を棚に戻すかもしれません。

 まえがき(「序にかえて」)…
 まえがきは、どんな内容の本かを簡潔に述べ、それによって読者が、買うかどうかを判断するものです(あとがきにも、同じことが言えます)。
 ここでは、著者である「私」が、どのような過程(悩んだり、喜んだり、落ち込んだり)を経て現在に至ったかなどを、 せいぜい2ページぐらいで収めるべきですね。
 つまり、短い文章で、興味がある、もっと知りたい、という気を起こさせる大事な部分ですから。

 目次…
 ケーススタディは2区分32項目ありますが、“Q”と“A”を入れかえると、効果的でしょう。 というのは、「疑問・質問」の文が長すぎて、忙しい読者には「自分の知りたい項目は、どこにあるのか」と、直ぐ見つかればともかく、 探すうちにイライラの材料になると思うからです。
 そういえば、全体的に文章が長めですね。“です・ます調”のひとつの弱点ともいえますが…。

 本文…
 内容については、私は門外漢ですので言及しませんが、ハウツウ本に限らず、文章は短めにし、要点をあげ(箇条書きにし)、要領よく書くことです。 要するに、“メリハリ”をつけることです。
 たとえば、一ページ、あるいは見開きで項目ごとに完結させることです。 空白が出れば、イラストを入れたり、コラムを入れたりして変化をもたせます(本書でも、それらは挿入されておりますが)。
 その上で、「私」の知識や経験を、どう分かりやすく伝えるかが求められます。

 読者対象…
 上記“本文”などに、大いに関係することですが、どのあたりを読者対象とされているか分かりませんが、 専門用語にかぎらず、できるだけ分かりやすく表現することです。
 レベルは高いほど良いように見えますが、学術論文を書くのではありません。
 できれば、初心者向けといいますか、なるべく年齢の低い層を想定して書くとよいかと思います。 “ベテラン”も隠れて復習をすることもあるでしょう。

 ページ数…
 あなたは、いいたいこと・書きたいことがたくさんあって、これでも少ないと思っておられるかも知れませんね。
 上記の“読者層”ではありませんが、冒頭に記したア)初級・中級・上級の三段階での作り方や、 (1)特定の業種向け、(2)一般向け(市販用)という考え方で、私はあなたの豊富な経験談などから、一冊ではなく、複数の出版物を想定しておりました。

 本のサイズ(版型)…
 コートのポケットやハンドバッグに入れて持ち歩く、電車の中でもちょっと開いて読む・おさらいすることができるような、 ハンディな大きさがよかったでしょうね。ページ数と版型については、いろいろな考えがあったのでしょうが、大きいサイズで、 ページ数が多ければ、やはり“重たく”なりますね。
 昨年お会いした時、「折にふれて本屋をのぞき、どんな本をイメージするか」について考えてくださいと、お話したと思います。

 価格…
 これも理の当然ですが、上記の2点と発行部数を勘案して決定されますが、やはり高めになりますね。

 最後に、蛇足ながら、ご提案(キャッチコピーの一つとして)
 “「いらっしゃいませ、こんにちは〜」だけが接客業ではない。“心”(誠意)でせまる、その極意とは?! ”などというのは、いかがでしょう。

 いろいろなことを書き並べ失礼しました。参考になるかどうか分かりませんが、これはお会いした時の印象に基づいた感想+αであります。 《どうぞ、ご寛恕を!!》 2006年暮れ・記す


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