「自分史」講座を立ち上げたいと最初に声がかかったのは01年の初夏、ある出版社系列のAビジネスカレッジからである。
私はすぐに自作の年表も加えた"書き込み式"の自分史ノート(オリジナル・ファイル)を作成した。
9月開講を目指して、8月下旬に2日計4回の説明会が開かれた。20人前後の参加を得たが、手ごたえは芳しくなかった。
広告を見て参加した人のほか、友人や知人も顔を出してくれたが、旧交を温めるなど、もとより"おつき合い"の域を出なかった。
その年末の忘年会の際に罹ったらしい肺炎に苦しんでいた02年1月初旬、私はいくつかのカルチャーセンターに「自分史講座」を立ち上げないかとの手紙と略歴を出していた。
10日ほどして、東急セミナーBE渋谷の担当者Hさんからメールが届く。病身ながら出かけてゆくと、「自分史」講座は成立しにくいので、
他の講座を立ち上げられないかという話になった。(次項「(61)「"講師"という仕事」その3」参照)
《肺炎は幸い、近くにある大学病院に45日ほど通院するだけですんだが、並行して、わがカミさんが大腸がんの手術で同じ病院に入院という日々が4月なかばまで続いた。
ついでに言えば、長男の中学卒業式と高校入試と入学式もあり、カミさんは二つの式に"外出"許可をもらって出席している》
ついで02年7月初旬、NHK文化センター光が丘教室のT支社長より電話があり、秋期(10月〜)開講予定の"自分史講座"の講師を依頼したいとのことで、
何度も打ち合わせに行った。
オリジナル・ファイルについて説明し、基本的な合意のもとに、スケジュール等について、打合せを行った。
…(1)10月より翌年3月までの6か月間、毎月第3水曜日、午後1時〜3時(4番教室)で、6回を一区切りとする。
(2)開講のための最低人数は、4〜5名とする、などと。
しかし、立地条件や講座料などによるからか、2回も募集をしたが関心を示す人はいても、開講するだけの人数は集まらなかった。
"自分史"は流行しても講座は流行らない、というのが現実であった。私の知る限り、ある出版社OB(男性)が講師を勤めるNHK(青山)のカルチャーセンターではつづいていたようだ。
また、彼の考案した"書きこみ式"自分史ノートは、かなり売れているという。
この自分史ノート(オリジナル・ファイル)は今すぐにも使えるものであり、わがHP上でも当初より、希望者を募っているが、 いまだ名乗りあげる人はいない。
1、わが人生のすべてを記録しよう
2、半年もあれば書けるだろう
3、エピソードを拾い出そう。手紙や写真の整理もしなければ
4、取材もしよう(友人、故郷、忘れられない思い出など)
5、書くことが一杯あるぞ、500枚ぐらいになるかな
このように、書く準備段階から原稿完成まで、構想が浮かぶ方は相当な"書き手"に見えますが、これではたぶん途中で挫折してしまうでしょう。
いきなり失礼なことを申しましたが、なぜ挫折するのかといいますと、おそらく、あなたの全人生を一気に書き、
一冊の本として自費出版しようとお考えだからです。それが"自分史"だと思っておられるからです。
そんな大それたことは、プロの作家でも何年、いや何十年もかかります。完成しないかもしれません。
もっと気楽に考えましょう。そして、本書のページを繰るうちに、これならばできそうだというノウハウやコツに出会うはずです。
書くのが苦手な方には、「喋って作る自分史」のコーナーも設けております。
このテキストは、いずれも筆者のオリジナルです。順を追って作業を進めれば、120日間で自ずと達成感が得られることは間違いありません。
本文に入る前に、「あとがき」にも目をお通しください。
*関連して、趣味の講座「"名入れ色紙"の楽しみ方」もあります。《目次以下、省略》
ところで、"自分史"講座については日本エディタースクール出版部へも、次のような提案をしようとしていた。
新規原稿について(コンセプトの一案) 《2002・12・16橋本健午》
*「団塊世代向け 自分のための自分史」
*「過去を振り返れ―団塊世代だから自分史を書こう―」
*「自分のために書くから 自分史」
いま40代後半から50代前半の、"仕事"一筋に働いてきた皆さんが、この不況で直面している現実はさまざまであろう。
順調に働いていても、子どもの教育費、住宅ローンで生活に余裕のないケース、また親の介護や離婚の危機など、
予期せぬ事態に直面している方もいるかもしれない。
リストラはされる側も辛いが、する側はもっと辛いという話もある。
人は多く、固定観念、みなと同じ思考(志向)をしているようではだめである。何に悩んでいるか、何を悩んでいるかを、認識しているかどうか。
これまで、何をやってきたか、あるいは何をやりたかったか、を振り返るのも一つのヒントになるであろう。
人生は1回限りのものである。だから、好きなことだけやろうという人もおれば、じっくり考えて、これではいけない、
私の本当にやりたかったことはこれだということに気づく人も多いだろう。
人はどう見ているかなどと、他人の目を気にしたり、他人の考えに引きずられたりというのでは、これからの世の中を渡っていくことはできない。
人は覚悟というか、思い切りも大事である。また、これまでのやり方が良かったかどうか、もっとちがったやり方があるのではないか。
外観を飾る、家が欲しい、車も欲しい、愛人も…などと、欲望にはきりがないが、あなたにそれだけの器量が備わっているかどうかを反省すべきではないか。
"捨てる"時は思い切って捨てることだ。
"自分史"といえば、定年を過ぎた人が、ふと人生を振り返り、何か子や孫に書き残したい、 自慢話の一つも書き残したいという動機で取り掛かることが多いだろうが、本書で提案するのは"方法"は同じでも、 これからの20年や30年を、どのように生きていくかを考える「ターニングポイント」に立っている人のためのヒント集である。
〔2002・12・22〕
「士の心をもて⇒志」/皆と同じことをやっていてはダメ/必要なのは、幅広い人間関係(とくに異分野)
/異性の友人を持つこと/年代のちがう人々と付き合う/あきらめないこと/ここ(会社など)がすべて(終点)と思わないこと
/自分を魅力的に見せる工夫を/柔軟な発想を身につけること/若い人や部下にも丁寧な言葉づかいを
/仕事に無関係な本を読むこと/社会に関心をもつこと/ちがった考えを認める余裕(知識)を
/1日は24時間、自分の時間を大切に/だれとでも対等に付き合え/友人関係が壊れる覚悟で、借金を断れ
/毎日の仕事に力を注ぐのは、80%ぐらいがちょうどよい/地域社会に関わること/礼儀をわきまえよう
/小人閑居して、不善をなすなかれ/手紙の書き方、電話の掛け方、メールの送り方
/カラオケ、パチンコ、ゴルフばかりが人生ではない/ゴミの出し方、掃除、料理を覚えよう
/相手のレベルまで下がってはいけない/相手のレベルまで上げなければいけない
つまり、定年を迎えたからとか、昔を思い出してなどという動機からではなく、"自立"するために、"わが身を振り返り、 将来を展望する"こととでもいおうか。いまからでも、遅くはないと思うのだが……。