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電子版 梶山季之資料館 開館について(ごあいさつ・2004年版)

 昭和30年代半ばから同50年5月11日に没するまで、14年余にわたる梶山季之の作家活動は、 出版界における小説雑誌の全盛という時期とも重なり、多彩を極めました。

 編集者から「梶サン」と親しまれ、週刊誌時代を築き、トップ屋と呼ばれたのち、"産業スパイ"小説で一躍、 流行作家の仲間入りをし、社会派、弘済会作家、創刊号男、ポルノ作家などさまざまな異名を奉られた梶山です。

 一方、冗談好きの"だじゃれ関脇"、また面倒見もよく、酒場では他人の分も支払って先に出る"フケの梶山"であり、 もちろん編集者の"困った時の梶頼み"の無理な注文に嫌な顔もせずという、サービス精神の旺盛な人でもありました。

 しかし、長年の構想と1万点余の資料をもとに書き始めた、環太平洋小説ともいうべき『積乱雲』は、 とうとう日の目を見ず、45年4か月の生涯を閉じたのでした。

 助手として8年半ほどそのそばにおり、香港に遺体を迎えに行った私は、その"遺志"を継ぐべく、 ここに本「電子版 梶山季之資料館」を設立するにいたりました。

 梶山の没後30年を迎える2005年5月11日までの完成を期し、若い人々を含め研究者やファンの方々に、 梶山季之の作品やそれに付随するさまざまな活動や、また言論の自由が危うい今日、梶山がペンの力でいかに"権力"に対抗したか、 改めて見直す資料となればと念願し、さまざまな角度から展示を行う予定です。

 本作品リスト作成にあたり、梶山美那江氏編『積乱雲 梶山季之―その軌跡と周辺』(季節社1998・02) に収録された「梶山季之 仕事の年譜・年譜の行間」および「梶山季之刊行作品全リスト」 ならびに梶山季之研究家である天瀬裕康氏作成の『梶山季之 総仕事 全方位 解析 事始―半定量的チョー作家論メモ―』 (西日本文化出版2000・05)のデータベースを参考に、かつ利用させていただいております。

 工夫を凝らしたつもりですが、いまだ十分とはいえず、追加や修正を行い、より完全なものを目指しております。 至らぬ点のご指摘やご教示など、お寄せいただければ幸いに存じます。どうぞよろしくご支援のほどお願いいたします。

2004・5・11橋本健午


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