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「ひたすらコラム」 2006年2月上旬号

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「新旧首相の迷セリフ」
 あと任期が8か月ばかり?となったらしいが、小泉首相の迷セリフは相変わらずだ。昨年の衆院選で"刺客"として送り出したホリエモンことH青年は、 先ごろ証券取引法違反で逮捕された。これに関連し、首相は「その時点で、郵政民営化に賛成する人は応援するということ。 会社でも採用した人が不祥事を起こしたら『採用が間違っている』といえるのか」と、記者団に答えたそうだ。
 さらに「この件と、昨年の衆院選で自民党幹部が堀江容疑者を応援したのは別の問題だ」といっているが、出馬を促す際に 「君のような若者が政治に入ってくるのは素晴らしい」と持ち上げていたにしては、いかにも言い訳が下手だ。
 また、次期自民党総裁候補ナンバー・ワンと目される安倍官房長官も、BSE問題で、米国産牛肉の再禁輸について、 昨年12月に輸入を再開した政府決定は「あの時点では米側がしっかり検査するという上での再開なので間違ってはいない」と、 首相と同じ論法でのたもうたそうだ。
 そういえば、小泉首相は先の施政方針演説の際も、靖国神社参拝問題で米政府や議会が懸念しているとの指摘について、 「ブッシュ大統領から靖国参拝の批判を受けたことは一度もない。米政府には私の参拝の真意が理解されている」と、 都合よく?答えている。彼は"ブッシュの真意"など、ご存知なのだろうか。
 ところで、60数年前の"大東亜戦争"時代に遡ると、東條英機首相兼陸軍大臣は、戦況が悪化した昭和18年ごろ、 「戦争が終るということは、戦いが終った時のこと、それは我々が勝つということだ。そして、我々の国が戦争に勝つということは、 結局"我々が負けない"ということである」などと、意味不明のことを口にしていたという(保阪正康著『あの戦争は何だったのか』新潮新書2005・07)。
 さらに、始末が悪いのは、石油を輸入しているアメリカを相手に戦争を始めるのもスゴイが、その前「いかに戦争を終結するか」についての議論で、 4つの考えが出されたが、二つは「ドイツが勝てば」という、他力本願であったという(座談会「日本 敗れたり―あの戦争になぜ負けたか」「文藝春秋」05・11所収)。
 なんだか歴史は繰り返すのか、日本人は進歩していないのか、よく分からないが、いずれも自己責任をとらず、 "相手"次第という論理は日本の指導者に流れるDNAなのだろうか。
 確固たる信念がないのか、国家・国民をリードするに自信がないのか。指導者がこの体たらくでは、あまりに情けないではないか!!  次代を担うよい子の皆さん、マネをしないでね?!

「扉・門・室・塀」その1
 飛ぶ鳥? 落とす勢いでテレビ局を掛け持ちする女占師の"ご託宣"によれば、「ホリエモンは大成功する」はずであったそうだ。
 ところが、各メディアの報道するような事態に到ったわけだが、小泉首相いわく「メディアがあれだけ時代の寵児みたいに取り上げたということはどうなのか」とホコサキをかわしたあと、 「(堀江容疑者は)無所属で落選したんですから。メディアよりも有権者のほうが冷静だったんじゃないですか」などと、 ここでも無責任な発言をしている。テレビを巧みに利用するなど、己の場合には頬被りして、よく言えたもんですな。 思うに、あの選挙で同容疑者が当選していたら、今ごろ小泉政権はどうなっていたか。政府自民党の連中は、 みな安堵の胸を撫で下ろしているところであろう。
 別の話題。先の、女占師の"ご託宣"により"扉"株を買った御仁がいて、一攫千金を狙っていたのに、この事件発覚で、 株価の大暴落にがっかり、今や切歯扼腕という心境だそうな。これこそ、まさに"風説の流布"ではないのかしらん?!
 ちなみに、この占師は、その昔わが国の首相連中に大きな影響力を持っていた、陽明学の安岡正篤先生と結婚したとかで話題になったことがあった (この件について、かなり詳しくウォッチしているホームページがある)。
 さらに近ごろは、画家である実弟が詐欺事件で、新聞をにぎわしているようだが(「細木数子さん弟逮捕/融資制度3000万詐取容疑/茨城県警」東京1・28)、 姉歯、いやお姉さんとしては予測していたのか、想定外だったのかどうかと"追跡調査"している人もいることだろう。 もっとも、先のテレビ各局は視聴率、すなわち女占師の威光を恐れて、報道などすることはないであろうが。
 ちなみに、このタイトル「扉・門・室・塀」はライブドア(扉)のホリエモン氏(門)が、証券取引法違反容疑で、 何日も取調(室)で過ごした後、"(塀)の中"の人になるのだろうか、という"予測"であって、私個人の願望などではない。

「扉・門・室・塀」その2
 姉歯サンの耐震強度偽装問題からはじまった、マンション・ホテル建築問題だが、ビジネスホテルチェーン「東横イン」による、 別の"詐欺"事件が発覚した。
 天下のNHKが「東急イン」と誤記したように、多くの人が著名な「東急イン」と勘違いしていたようだ。 本社が蒲田にあり近接するのが東京と横浜だからと、「東横イン」と命名したそうで、これは"偽装"でも"優良誤認"でもなさそうだ。 さっそく、後者はホームページに1月27日付で「【ご注意】東急インおよび東急グループは、「東横イン」とは一切関連がございません。」と表示した。
 同チェーンのホテルは、全国の主要な駅の近くなどビジネスに便利な場所にあるが、名前も「東横イン横浜日本大通り駅日銀前」とか 「東横イン熊本水道町電停前」、「東横イン溜池山王駅官邸南」などとバス停のように具体的で、妙に田舎くさく感じる。 もっとも、支配人など女性を多く登用し、人件費を抑え、低料金でサービスに徹して?いるそうな。
 そのためか、同じ確信犯でも、「地震で建物が倒壊した時に、発覚した」ことにしようという"耐震強度偽装"グループと違い、 法律や条例に基づく身体障害者用設備や駐車場の設計をしつつも、当初から"改装"を見込んでいた、社長自らが商売熱心なところである。
 社長いわく、「捕まったら仕方ないが、そんなに悪いかな…」、「条例違反になるのは知っていたが、機械式駐車場を外すことにした。 行政の検査が終ってから全部取っちゃった」。また、身障者用客室について「1年に1回かそこらしか使わない。(だから)ロッカーとリネン庫にした。 身障者は普通の部屋に泊まっていますよ」などと悪びれない(以上、東京1・27夕刊)。
 しかし、身障者団体は「障害者を愚弄」と、黙っていない。翌日に、同社はホームページなどで"反省""陳謝"しているのは、 どこかの首相らとちがって、正直ではないか?!
 とはいえ、その社長が「時速60キロのところを67,8キロで走っていいかと思っていた」というウラには、 交通安全週間のときだけ、大勢の警官が出て"時速40キロ厳守"などと取り締まるが、それ以外はバカ正直に制限速度を守って走るクルマはいない、 といっているようなもの。
 世に、官は民を犠牲にするごとく、民が官を道連れにする例あまた知れず…。"真相"は今後の推移を見ないと分からない。 いっそ、女占師に占ってもらうのもよいが、当るも八卦、当らぬも八卦の"見料"はべらぼうだろうしなあ・・・・・・。

(以上、06年2月1日までの執筆)


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