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「ひたすらコラム」 2006年3月下旬号

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「"奉仕"の義務化」
 この季節、わずらわしいのは花粉症ばかりではないと、3月24日付の東京新聞を読んで思った。
 憲法と並んで、教育基本法の改正も取りざたされるなか、都教委は都立高校での卒業式に起立して君が代を歌えと強制したり処罰するだけでは飽き足りないらしい。 この4月から、都内6か所に「学校経営支援センター」を設けるという。
 目的は、約260の都立高校や養護学校の教育活動に対し"よりきめの細かい支援を行う"ことだそうだ。 たとえば「学校の状況を把握するため、教員出身の指導主事を含む職員7人がチームを組んで学校を月1回訪問し、 授業や職員会議を傍聴する」のだという。
 それは「校長のリーダーシップを支援する」ためというが、察するに都教委の意のままになる校長しか生き残れない、 またそのような校長に右へ倣えの先生しか残らないことを意味するのだろう。近い将来、都立高校は授業内容などどうでもよく、 いつでもどこでも音吐朗々、君が代を歌う?ロボットのような先生だけとなり、教育とは関係のない世界が出現するにちがいない。
 さらに、これでは不公平だと、都教委は生徒への気配りも見せる。07年度から、都立高校で「奉仕」の授業を必修化することが決まっているが、 「成績は数値化せず、生徒の自己評価や受け入れ先の評価から総合的に判断し、文章記述にする」そうで、 これまた都教委主導の言いなり"担当官"の裁量権が過大になりそうだ。
 少子化や経済格差によって、9年間の義務教育だけで"学生"生活を終えるものが増え、一部の中学生は私立高校を目指す…。 やがて都立は存続の危機が叫ばれるのは時間の問題ではないか。現に、定員に至らず第3次募集をした都立高校がいくつもある。
 奉仕活動も国歌を歌うのも、だれもが自発的に行うものであろう。それを強制までして、どんな日本人を求めているのだろうか。 いま自民党などが検討している「愛国心」というコトバが、なんだか重くのしかかる時代が、すぐそこまで近づいているようだ。

「モンゴル相撲、大阪場所?!」
 実況中継も見ていないので推測でしかないが、大相撲春場所(大阪)の千秋楽後半の何番かは"予定調和"だったのかしらん。 すなわち、モンゴル出身、一敗同士の朝青龍(25)と白鵬(21)は本割でともに負け、優勝決定戦では2場所連続優勝なしという"前例"がない横綱が勝ち、 大関昇進確実の白鵬が負けて終った。
 双方の本割の相手は、辛うじて綱取りに生き残った栃東(29)に、8勝7敗と勝ち越した、かど番常連大関の魁皇(33)である。 八方、めでたし!ではないか。前日、白鵬に「キミはまだ若い、優勝のチャンスはいくらでもある。ここは眼をつぶって先輩を立てて」などと誰かが言ったかどうか知らないが、 浪花節的がよく似合う大阪場所ではなかったか。
 それはともかく、今場所、目を見張るのは初のモンゴル出身同士の優勝決定戦だけではなく、白鵬(殊勲賞、技能賞)、 旭鷲山(33、敢闘賞)、安馬(21、技能賞)と三賞をもモンゴル勢が独占したことで、これも初めてという。
 さらに、十両ではエストニア出身の把瑠都(21)が、全勝優勝をしたのは43年ぶりで、のちの横綱北の富士以来、 4人目という快挙だそうだ。
 でも、日本人力士もがんばった。93年の名古屋場所以来、13年ぶりに全関取が"皆勤"したそうだから、 やはり大勢の大和魂が下支えをしている証拠であろう。
 もっとも、それぞれ年1回の地方場所(他に名古屋・福岡)では、相撲人気は続かなく、チケットをさばく茶屋の廃業は著しいそうだ。 下支えだけではダメか。
 いまや人気は女子のフィギュアスケートとカーリングという時代。そういえば、マラソンも男子は精彩がないなあ?!

「ミノムシ、ごーろごろ」
 連日いくつのもチャンネルで朝から深夜まで放映されているらしいが、「4月の番組改変で、民放キー局の朝の"戦い"がいっそう激しさをます」のは、 1週間に10本ものレギュラー番組を持つ男、みのもんた対策だという。
 昨年の大晦日、紅白歌合戦に起用された彼は、「(視聴率が低迷しており、司会は)俺しかいないと思っていた」などといっていたが、 得意のアドリブも台本どおりという"壁"に実力を発揮できなかったらしい。
 即興を旨とするアドリブを台本に書き込むというNHKの"言論統制"もすごいものだが、それはさておき。
 彼は昼間やゴールデンタイムばかりか、朝5時からの番組でも歯に衣着せぬ毒舌が受けて"視聴率を上げている"のに対抗するため、 なんと放送を午前4時から繰り上げる局が出てきた。放送界には「早い時間帯から放送したほうが視聴率の上がりがよくなる」法則があるそうだが、 こんなに早くからテレビを見ているヒマ人は、どこのどなた達であろうか。
 彼がどの番組でも人気があるのは、視聴者の何割かに"追っかけ"がいるということであろう。 そして、それらの番組を支える広告主は当然、彼らをターゲットにしたコマーシャルを流しているわけだ。
 想像するに、"実の一つだになき"ではなく、"みの一人"に頼った、この現象はみんなで渡れば、いや今や懐かしいコトバ"護送船団"方式ではないか。 そして、"追っかけ"連中は、若くないフリーターかニート族であろうし、日がな一日「ミノムシごーろごろ」を決め込んでいることだろう。
 ということは、もはや、この国をツブす?のはコイズミでもなく、民主党でもないようだ。 ズバリ、みのもんた、いや彼の人気一つに群がるテレビ局、それを支える企業群、そして数多くの"追っかけ"連中であろう。 いずれ、総ザンゲでもする日が来るのかしらん?!

(以上、06年3月29日までの執筆)


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