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「ひたすらコラム」 2006年7月上旬号

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「星条旗よ、永遠なれ?!」
 アメリカは好きな国ではないが、一つだけ、敬意を表したいことがある。
 まず、新聞「星条旗への冒とく禁止/米の憲法修正案 1票足らずで否決」(東京06・06・29)によると、 米上院で共和党は11月の中間選挙に向け、愛国心に訴えて、保守層の指示を固めるネライで、「星条旗は米国の自由と価値の象徴として保護されるべきだ」と憲法修正の必要を強く主張したそうだが、 一票差で否決されたという。
 私が"敬意"を表するのは"憲法修正"ではなく、"修正憲法第1条"による表現の自由を尊重するところである。 具体的には、国旗(星条旗)を焼くことや、電車内での物乞い、インターネット上での先生の悪口も許される、という寛容さで、どこかの国とは大ちがいである。
 したがって、さいきんカナダと米国を訪問した小泉首相の"卒業旅行"に際し、米下院外交委員会の委員長(共和党)が、 首相が就任以来続けている靖国神社参拝について、「論争になっている参拝を繰り返す日本の首相が米議会で演説するのは適当ではない」との懸念を示したのも、 "表現の自由"あらばこそであろう。
 もっとも、コイズミは、そんな忠告はものともせず、「(靖国に)何回行こうが自由だ」とか「日本は常に米国の味方だ」と強調していた。 さらに、ブッシュとの共同記者会見で、最初に覚えた英語はと聞かれ、プレスリーの大ファンだという彼は「アイ・ウォント・ユー、アイ・ニード・ユー、アイ・ラブ・ユー」と答えたそうだが、 在日の同世代人に聞くと、「そんなことはない。アイ・アム・ア・ボーイやディス・イズ・ア・ペンだったはずだ」といきまく。 彼はちがう国の人かしらん。
 とはいえ、思えば、今日4日は同国の独立記念日。イギリスから独立したのは1776年、230年前のこと。 まだまだ若い国なのに、なにやらデカイ面をしているではないか。

「食事は学校で…」
 05年の出生率が1.25と過去最低になったという。生れた赤ちゃんは約106万3千人(前年比マイナス約4万8千人)で、 死亡数を引いた自然増加数は初のマイナス2万1千人となり、この05年は「人口減少元年」だそうだ。メデタイのかな?!
 でも、生れた赤ちゃんは大事に育てられればよいが、どうも近ごろ、日本人はおかしくなっているようだ。
 少しく新聞の見出しを並べてみよう。母親が与える離乳食の「ベビーフード派75%/偏食、遊び食いに悩み/10年前比10ポイント増加」(06・30)によれば、 これらの悩みはベビーフードをほとんど使用しなかった人より10ポイント以上も高かったとか。 また、週に二日も朝食を与えないという報道もあった。まさか母親は、自分だけ食べているのではないだろうなあ。
 ある調査によると、小学生の16%、中学生の20%が朝食抜きで登校しており、「学校で朝食を」と朝食タイムを設けた学校もあるという。 そんな時代だからか、「中学校の給食/保護者の80%が希望」とは武蔵野市のアンケート結果(06・07)。 だれだって、ラクはしたいし、以前に書いたように(06年5月23日「学校給食は、必要か」)、給食費を払わない親もいる。 こんな親たちを持った子どもは可哀そうだなあ。
 それかあらぬか、タイミングよく「『食育精神を学校現場に』/都内で推進シンポ(主催・文部科学省)」(06・27)が開かれた。 今後、5都市でもシンポが行われるそうだが、全国学校栄養士協議会の副会長は「食育の要は学校。おいしい給食を生きた教材に、家庭や地域と連携して食育を進めることが重要だ」というが、 頼りの"家庭"はすでに崩壊している!! やがて、朝昼晩食とも学校で出す、という時代が来るのではないか。
 一方、「好きなものだけ食べたい」を放映したのは、先月4日のNHKである。ある人の感想に「家族はよく取材に応じたものだ。 ただの"放し飼い"。食卓は餌場と化している」。何、"一芸"さえあれば、テレビに出たがるのは"セレブ"や"カリスマ美容整形外科医"だけではない。
 ついでに挙げれば、「止まらない児童虐待/過去最高、前年比1000件増/05年度厚労省集計」は児童虐待に対応した全国の児童相談所による数字(3万1451件)である。 暴力だけでなく、ロクに食事を与えないのは"虐待"の最たるものではないか。
 もう一つ、「学校の清涼飲料自販機/欧米で撤去へ/子どもの肥満 社会問題化」(06・28)とあるなか、 全国清涼飲料工業会の企画部長いわく「日本と米国では事情がちがい、米国が始めたからといって、日本もすぐに、ということはない」とコメント。 米国に追随する首相とは一線を画したが、これは日本の消費者がナメラレているのですぞよ。

「ご趣味は?」
 さいきん、仕事で知り合った女性から、「ご趣味は」と聞かれた。同席の友人が、ゴルフと答えたからだ。 ゴルフはやりませんというと、釣ですかの質問。これにも困って、「海釣りも岡釣りもやりません」(注:後者には別の意味もある)。
 読書とか音楽鑑賞などというのは定番だが、今さら口にするほどでもない。数年前には、かなり若い後輩に聞かれて、 「ぼんやりしていること/折りにふれて『名入れ色紙』を贈ること」などと答えたことはあるが。
 趣味らしき趣味はないなあ、と思っていると、彼女は私の顔をみながら、「芸術家タイプですね」という。 これにも困って、答えあぐんでいると、次の質問が飛んできた。「絵を描くとか、陶芸とか」。
 陶芸ならカミサンがやっているが、では答にならない…。ベレー帽をかぶって、モデルになってくれませんかと、 若い女性を誘い、何人も殺したボクちゃんことニセ画家・大久保清のことが頭に浮んだ(昭和46年、群馬県で発生の連続女性誘拐殺人事件の犯人・大久保清のこと)。 しかし、あまり親しくない女性の前で、昔の話をしても誤解を生じてはと思うと、ほんとに困ってしまった。
 改めて、久方ぶりに髪を短くした、わが顔を鏡で見ると、何の変哲もない六十男ではないか。 そうか、彼女に会ったときはその直前で、長髪が別のイメージを作っていたのだった。
 そういえば、以前、居酒屋でだいぶ年輩の方から、カラオケは? と聞かれて、「歌うのも、聞くのもキライです」と即座に答えたことがある。 別に、場が白けることもなかったが、その方に「酒を飲むことだけが趣味ですか」と、切り返されてしまった。 趣味って、なんだろう?

(以上、06年7月4日までの執筆)


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