「ジダン、だ?!」
第18回サッカーWカップ・ドイツ大会は、当初、ロナウジーニョ(ブラジル、26歳)の大会になるといわれたが、
ほとんど活躍の機会はなく、MVPを獲得したのは一度引退を決意したジダン(フランス、34歳)であった。
しかし、決勝戦での彼の行為は理由が何であれ、後味の悪いものとなった。
決勝戦(3位決定戦)まで7試合戦うらしいが、観客の一人、私もなぜか7試合も見てしまった。
午前4時(決勝戦は3時)開始の試合が、ジーコジャパンの戦いを含め5試合というのだから、明け方に起き出してのテレビ観戦は、
我ながらご苦労様というほかなかった。
サッカーは一見単純なボール蹴りにして、かつ高度な技術や身体能力のぶつかり合いだが、
国と国の戦いであるという以上に、選りすぐった各国の選手たちによるさまざまなプレーを、居ながらにして観られるという競技は他に見当たらない。
時に眼をつぶりたくなるプレーもあるが、野球などとちがってボール一つで楽しめ、練習できるからこそ、
子どものころから親しめ、どの国でも盛んに行われるのだろう。しかし、お終いには実力に大差ない試合となると、
必然的に貧富の差、宗教の差、人種差別が顔を出すのであろうか。
そして、尊敬と恥辱はスーパースターの宿命かもしれないが、フェアプレー精神、スポーツマンシップなどという奇麗ごとだけですまないのは、
それだけ儲けにもなるというFIFAに代表される商業主義が支えており、かつお祭り騒ぎを煽るどこかのテレビ局、それに踊らされる視聴者たち…。
だれが、悪いのは「ジダンだ」といえるのか。しかし、今ごろ地団太を踏んでいるのは、当の頭突き男かもしれない?!
もう一つの"情報"によると、相手イタリア選手とは、示談?になる可能性もあるという。もちろん、FIFAの仲介で!?
「パソコン受難記」その1
7月5日午後、いつものようにパソコンを使っていると、本体を冷却するファンが、とつぜん唸るような大きな音を出し始めた。
他はどこもおかしくないが、初めて聞く異常な音である。とりあえず、仕事中の、わが"助手"娘に電話。
そのアドバイスにより、メーカーのテクニカルサポートに電話してみると、録音された女声で次々に指示をされる…。
「故障などの場合は1を押してください」で1を押し、日本語の場合は1をで、また1を押す(英語は2)などと出だしはよかったが、
ディメンションとかインスぺリオンなど、これまで聞いたこともない横文字4単語の中から選択(指定)せよなどといわれても、
さっぱり分からず。あとで「機種」名と知ったが、それがどこに表示されているのか、などとすぐに、お手上げとなった。
気を取り直して、「個人のお客様」番号にかけてみると、今度は肉声である。やれ、うれしやと、「ファンが異常な音を…」といいかけたが、
まだ先があった。改めてテクニカルサポートの電話番号を教えてくれ、ついで「エクスプレスサービスコード」などという11桁の番号を押せば、
早くつながるという。それも、代わりにやってくれたようで、いよいよ男性の技術者が出た。ここに至るまでに、都合20分以上かかったのではないか。
メカに弱い私はすでに藁をもつかむという心境、ただでさえ暑い毎日、手に汗握る、いや握った受話器を片手に、
技術者「機種は何ですか? ディメンションですか、それとも…」、私「それはどこを見ればよいのですか」/「本体の前面です」
「あ、ありました。ディメンションです」/「ディメンションの2400Cですか」「そうです」(やれやれ、と思っていると)
/さらに「サービスタグは?」「それはどこに書いてあるのですか」など繰り返したのち、やっと異常("故障")の話にたどり着いた。
さまざまな指示に従い、本体のカバーを開けたり、端子を抜いたり挿したり…。しかし、何ら改善されないことを、
犯人が誘拐した人質を電話口に出させるごとく、私は彼に"騒音"を聞かせるしかなかった。・・・・・・
「パソコン受難記」その2
技術者が「お預かりして検査をさせて下さい。10日間ほどかかりますが」というのに異議はない。
かくして、データのバックアップを終えて、わが「ディメンション2400C」を送り出したのは、7日の午後だった。
広くなった机上をきれいにして、さっぱりした気分を味わったのは束の間だった。なにしろ原稿など、
文章を機械(ワープロ→パソコン)で書くようになって十数年が経つ。
いまや、朝起きれば、迷惑メールの除去が最初の仕事?となっているほど"キーボード叩き症候群"となって久しい。
さいわい、急ぎのものはなかったが、メールを送ってもらっても、10日間は開くことができない。
近々メール交換の可能性のある数名には、"パソコン不在"のメールを送り、他の手段を伝える。
これだけでは十全ではなかった。パソコンを使うのは私だけではない。カミさんはせっかく習い始めたのに復習ができないとか、
「××をインターネットで調べてちょうだい」などといってから、「あ、パソコンがなかったんだ」とがっかりしたり。
あせったのは大学生の息子だった。レポートをメール添付で出す期限は10日(月)だが、まだ一行も書いていないという。
自転車で1時間ほどのところに住んでいる娘の機械を借りてとなったが、本人はアルバイトにサークル活動、
そしてコンサート鑑賞もあり、家を出たのは土曜の夜8時過ぎである。何枚書いたのか、帰ってきたのは翌日の夜半だった。
一方、"パソコン不在"のメリットもあった。日ごろ怠っている書類や新聞切抜きの整理をしたり、本も少し読むことができた。
たとえば、半藤一利「清張さんと司馬さん」(NHK出版)、早坂隆「世界の日本人ジョーク集」(中公新書ラクレ)、
阿川佐和子・澤口俊之対談「モテたい脳 モテない脳」(新潮文庫)、まど・みちお「いわずにおれない」(集英社be文庫)。
そして、宮部みゆき責任編集「松本清張 傑作短編コレクション」(上中下、文春文庫)の中巻の途中で、
宅配のお兄さんが呼び鈴を押した。
10日後と思っていたところ、その半分の日時で戻ってきたのだ。さっそく、数個の端子を当てずっぽうで差し込むと、
ファンはいつものように、静かな音。ホッとする。
それにしても、パソコンがないと何か忘れ物をしたような、あるいは物足りないと思うキーボード叩き症候群は立派な"生活習慣病"とはいえまいか。
とはいえ、もう後戻りはできないのも事実。新たな悩み?!
《ちなみに、メーカーによる修理・部品交換は無償。バックアップ用の外付けハードディスク類は約2万円であった。》
(以上、06年7月18日までの執筆)