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「ひたすらコラム」 2006年10月下旬号

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「ウソつき」
 遠くハンガリーでは、「ウソつき首相」が居座って、これに怒った国民の辞任を求めるデモがつづくなど混乱しているそうだ。 なんでも、この4月に行われた総選挙に勝つため、ジュルチャーニ首相が国民にウソをついていたのだ。 つまり、選挙中は弱者救済を掲げていたのに、選挙後は増税路線を推進し、公共料金も値上げしてしまったのだそうな。 "ハンガリヤン狂詩曲"なんて、洒落ている場合ではないか。
 ユーロ(欧州連合の共通通貨)の早期導入をめざすため、財政再建を優先させたいからだそうだが、やっぱり"メジャーリーグ"に属さないことには、 国際的な発言権もない?!
 ともあれ、与党の会合で「朝も夕も夜もウソをついてきた」との発言が暴露されたのが発端だそうだが、 "ジュルイ…"などという名に似合わず、正直でいいですなあ。
 ひるがえって、日本の前首相などは、ウソでも詭弁を弄して反論してしまい、ついに"無傷"で退任したのだから、 エライというのか、とんでもないというのか。
 "不感症"にさせられた日本国民は、何を言っても驚かなくなってしまった。 そういえば、「サプライズ」なんて言葉はもう死語のようですなぁ。

「個人情報、アメリカの場合」
 一方、アメリカでは間もなく中間選挙だが、2期目のブッシュ共和党が苦戦、いやレームダック状態(死に体)ということだが、 選挙に勝つためにいろいろな戦術が"開発"されているそうだ。
 これまで、ライバルに不利な、あるいはマイナスの情報を流す「ネガティブ・キャンペーン」が主流であったが、 いまやもっとスゴイことが行われているという。
 この「マイクロターゲティング」という手法は、単に自党への支持を訴えるより、有権者個々人に関する詳細な情報を分析し、 自陣への支持獲得に結びつくような効果的な説得を図る選挙戦術のことをさし、民主党支持者がターゲットになっているようだ。
 共和党が90年代なかばに開発した、膨大な個人情報のデータベース(「有権者の貯蔵庫」)には支持政党や人種、宗教、クレジットカードの決済内容、 マイカーの車種、購読雑誌、通っているスポーツジムなどあらゆる情報が蓄積されているという(以上、東京06・10・18)。 コワイですねえ、イヤですねえ、淀川サン?!
 また、ひるがえって、わが国では03年5月に成立した「個人情報保護法」以来、企業も個人も、慌てて"個人情報"保護を名目に、 住所や電話番号を教えないとか、患者の病名など身内にも教えないなどと過剰な反応を示しているが、時すでに遅し、 住民台帳のように、あなたの個人情報など国はとっくに把握している?!
 なんでもアメリカの真似をする日本人。そのうち日本版マイクロターゲティングを"商売"にする人間が、各政党に売り込みに行くにちがいない。

「いじめ自殺、ゼロ行進の怪?!」
 何でも隠したがるのは"面子にかかわる"と思う自信のなさ、あるいは組織を守る意識からで、これは官も民も大差はない。 かつて、不祥事を起こした政治家は「秘書が、秘書が」と部下の責任にしたり、"会社ぐるみ"を否定するあまり"個人ぐるみ"の珍語を発した御仁もいた。 そういえば、かつて役人の汚職などで中央省庁が家宅捜索を受けると、必ず課長補佐が自殺するという図式があった。
 いやいや、そんな低次元?の話ではなかった。「5年間でいじめ半減」の目標を打ち出している、文科省の調べでは 「いじめ自殺 7年ゼロ/これって本当!?/教師ら 臭い物にふた・業績評価に響く」と、東京新聞(06・10・18)にある。
 全国の小中学校でのいじめは毎年1万件以上だが、それで自殺した児童生徒は7年間一人もいないということになっている。 その後、いじめそのものも警察庁の調査と比べ、数字が小さすぎることが明るみに出た。文科省サン、どうする?
 そろそろ、教師も校長も「(いじめに)気がつかなかった」「(いじめが)自殺の原因とは思わなかった」などという、 紋切り型の言い訳は止めてはどうか。
 しかし、事態はもっと深刻であるようだ。学校や校長の"面子"もさることながら、不祥事が起きれば教師自体の業績に響く(から、隠そう)という"硬直化"した環境こそ、改めるべきではないか。
 それにしても、ノーベル賞受賞者を30年間で50人出すとか、先の"半減"宣言など、政府や役人たちはお気楽でいいですなあ。

(以上、06年10月24日までの執筆)


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