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「まだまだコラム」 2008年4月下旬号

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「入学式の締め出し」
 今までも、こんなことがあったのだろうか。
 テレビニュースでも報じられたが、「入学金未納 式から排除/千葉の高校 別室で2人待機」、 「高校入学金未納の2生徒/長崎でも式出席ダメ」(いずれも東京08・04・14,17夕刊)という、二つの県立高校が取った"見せしめ"的な事態である。
 前者では、式後に入学金(男子は全額、女子は一部。入学金や授業料など9万円)を払ったため、 後者(定時制、男子。入学金など6万円)では二人の保護者が分割納付の計画書を提出し、いずれも入学を許可されたという。
 たしかに条例があり、建前としては「入学金を納めることによって入学の意思を確認する」ということだろうが、世は不況である。 それでも、学びたい、せめて高校まではやらせたい、というのが本人や保護者の気持ちではないだろうか。
 それとも、保護者の怠慢なのか、本当に家計が苦しいのか記事からは読み取れないが、後者の「分割納付の計画書を提出」すれば、 許可されたとある長崎県の場合「入学金を納めなければ、入学させない」という"条文"を逸脱した措置でしかなく、 教頭の発言「入学式前に説明会も開き理解してもらったと思っていた。県条例に従った判断で問題はない」ということと矛盾してはいないか。
 いや、私はそれがいけないというのではなく、なぜそういう解釈をして、まだ15歳の少年少女の前途を"差別"してまで"祝って"やったのかということである?!
 (入学式の記念写真を撮ったとすれば、彼らはどのような扱いを受けたのだろう。欠席扱いで、あとから上部にぽつんと丸がこみででも入れられるのだろうか)
 血も涙もないというか、このような杓子定規はいかにも現代的な弱者いじめで、教育者としてあるまじき行為ではないか。 あなた方は、そんなに立派な人たちだったのか、と。
 これを、教育者に置きかえて見れば、給食費を払わない教員には、給料を支払わないという条例を設けるべきだし、 それがイヤならば、出入り業者との利権も絡む学校給食制度を廃止すべきであろう。
 教員ばかりか、子供の給食費を払わない裕福な保護者も多いようだから、 「(弁当の中味で)子供が差別される」などという(ホンネは、面倒だから弁当を作りたくないだけの怠慢な)母親たちのタワゴトなど無視すべきである。
 ところで、入学金にもどれば、いずれも二人というところがミソではないか。 もしこれが一人ならば、果してそういう措置を取ったかどうか。
 以上、いずれも"日本人"の特質を感じさせることしきりである。(4月19日記す)

「授業料の滞納」
 "高校生とお金"問題、きのうの続き。今朝の新聞によると、もっと深刻な話が出ている。
 東京1面「都道府県立高の授業料など/滞納8000人、4億3887万円 06年度」、3面「授業料滞納/モラル低下の指摘も/都道府県教委 大半は経済的困窮」(08・04・20)として、全国リストもある。
 各教育委員会は、このままでは停学や退学につながりかねないため、滞納を減らそうと督促などを行っているらしいが、 経済的な理由のほかに、親のモラルの低下を指摘する声もあり、なかなか改善されないらしい様子がうかがえる。
 授業料の滞納トップは大阪府で、2億5178万円(3519人、ただし06年度までの累計)、2位の北海道5072万円(1060人)、 以下東京都2300万円(人数未集計)、神奈川2209万円(496人)、そして奈良(176人)・福島(366人)の1千万円台が続く。 逆に滞納ゼロは秋田・石川・京都・愛媛・長崎・熊本・大分・鹿児島・沖縄の各府県で、西日本とくに九州は健全ではないか。
 いやいや宮崎県は二人が滞納している。これはタレント知事東国原先生のポケットマネーで賄ってもらえばよいだろうし、 同様に大阪府も超タレント知事橋下先生に半額ぐらい出してもらえばエエヤンカ?!
 上記の千葉県では、398万円(114人、ただし06年度までの累計)と金額・人数ともCクラスのようだが、それだけに"ゼロ"を目指したいのかもしれない。 払わない親について、各教委のコメント…新潟「経済的な問題と親の無理解」、岩手「滞納者の10%程度が、払えるのに払わない保護者ではないか」、 愛媛「払わないのが当然と思っている親がいる」、長野はさらに鋭く、かつ諦めている?!  曰く、子供の学費が、携帯電話の料金などに比べ「支払いの優先順位が低くなっているのではないか」といい、 また静岡の場合「教員が督促のため訪問すると、親から怒鳴られた」例もあったそうだ。
 かつてM教師(問題のある教師)などといわれた彼らも、いまや生徒ばかりかその親の問題を抱えている"M"であるようだ。
 やはり兵庫や島根県教委がいうように「納付意識の低下や規範意識の低さ」ではないかしらん。 ならば、子供よりその親たちの再教育こそ、急務ではないか。高い授業料を取って、早速やってみる価値があるのではないか、各教委さん。

 そうかと思えば、私立高校は進んでいる?! 同日25面「東北で高校初出店/学食はコンビニ/学校側『生徒サービスの一環』」によると、 学校の食堂が休止されたため、「普通の売店にない魅力を出そう」と、おにぎりや弁当、清涼飲料水、菓子などの"充実"ぶりだとか、 授業の妨げになる恐れがあるとして、ガムや雑誌類は置いていないとか。
 勘ぐれば、コミック(書籍)や飴玉に、化粧品、さらに何とかスキンも置いてある、わけはないか??  保護者は弁当を作る必要もないし、お金を持たせたから、安心ということか。他人事ながら、授業料の滞納は皆無でしょうな。
 こんなに行き届いた? 私立がよいか、払わなくてもすむ? 公立がよいか、これからの親は、悩むことは、やはり当然ないか。(4月20日記す)

「"参加"に異議あり?!」+"付録"
 いま、世界各地を巡って、何かと話題いや物議をかもしている聖火リレー、やれ開催国中国の政治的宣伝であるとか、 リレーを妨害するのはチベット問題に対する中国への抗議からだとか、聖火トーチをリレーする"名誉"ランナーも火を消されたり、 身の危険を感じたり、いい迷惑だろうと思う……。
 それにしても沿道の人々の多いこと。ただの"火(たいまつ)"を持って走る人を見て、なにが面白いのか、うれしいのか知らないが、 ともあれ世には暇な人が多いものだ?!
 しかし、これだけではない。大阪・食いだおれの人形に別れを惜しんでケータイで記念写真を撮ったり、 タレントやスポーツ選手を出迎えに空港ロビーに群がる人々は引きも切らず……。
 知人とか友人がいるとか、なんらかの関係があるならばともかく、現場に立ち会う、すなわち"参加すること"に意義を見出しているのであろうか。
 冬季五輪の行われた長野の場合、今月26日のスタート地点に予定されていた善光寺が、混乱を回避するとして辞退を申入れたのは賢明ではあったが、 さっそく本堂に落書きをする不心得者も出て、さらに"話題"を提供してくれた。
 これは、チューリップの花を折ってしまう感覚と同じ愉快犯の仕業であろうが、うがった見方をすれば、 "格差社会の被害者"の仕業(うさばらし)であろう。《前橋市で開催中の「全国都市緑化ぐんまフェア」で、 今月9,14,19日に中心街市民が育てたチューリップ計約1900本が切取られている。 遅れて21日、一本を引き抜いたとび職の男(21)は、酒を飲んでおり、「ふざけ半分でやった」と自供(東京夕刊08・04・21)》
 現実に、生活に苦しんでいる人は多いと思うが、それをどく吹く風というようなことがまたあった。 「遼くんに会いたい・・・15000人/国内男子ゴルフ 過去5年で最高」だというのだ(東京08・04・21)。 16歳の少年の初優勝を見たいと、開催されたゴルフ場に集まったのはミーハーおばさんにおじさんたちだ。 「この日は午前五時半から続々とギャラリーが到着。一番乗りを果たした岐阜県大垣市の女性(40)は『昨日テレビで見て遼君の応援がしたいと思った。 一日ついてまわるつもり』」だとか。
 しかし、結果は5位に終わり、本人は「期待に応えようと思って、緊張で頭の中が真っ白になった」とか。 これをひいきの引き倒し、というのであろう。
 要するに、追っかけ(ファン)心理は、宝塚のスターでも聖火リレーでも何でもいいのかもしれない。 つまり、動くものに興味をもつ子犬のように。
 心配性の私は、石原都知事が躍起になっている2016年の再び、イヤ三度目(幻の五輪:1940年、戦争で中止に)の東京五輪が、 実現しないことを切に願ってやまない?!

 本コラムの掲出が1日遅れたおかげで、"付録"編を書かざるを得なかった。
 東京04・22夕刊「当時18歳に死刑判決…」(1面)は、99年に起きた光市の母子殺害犯人に対する広島高裁の差し戻し控訴審に関する記事だが、 社会面(11面)には「傍聴券求め4000人…」などとある。いわく「わずか26枚の一般傍聴席を求め、市民や報道関係者ら3886人が敷地外まで列をつくり、 事件への関心の高さをうかがわせた。周囲には混乱を避けるために一時パトカーも出動、騒然とした雰囲気となった」そうだが、 皆さん平日なのに、相当ヒマな人たちではないか(私もヒマだから計算したが、なんと150倍である)。
 あるいは、仕事を休んでまでも、他人の不幸がそんなに"面白い"のか"楽しい"のか。 これなど昔から"集団ヒステリー"といわれている国民性の表れではないだろうか。 それとも、聖火リレー警備の"予行演習"でもあったのか。(4月23日朝、追記)

(以上、08年4月23日までの執筆)


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