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「まだまだコラム」 2008年8月上旬号

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「捕らぬタヌキの…」
 北京オリンピックの競技が始まって、はや7日目。
 サッカー女子はまだ可能性があるものの、期待の男子は早くも決勝トーナメントに進めず。 やはりオーバーエイジの選手を出せなかったからか、作戦が機能しなかったからか。
 さて、今回のメダル獲得(願望)数は30数個らしいと、カミさんは言うが、控えめなのか、捕らぬタヌキなのか、 本日(12日午後6時)現在では分からない?!
 では、金メダル候補はどう報道されていたか。東京08・08・08「スポーツ」欄は、始まる前の気軽さで、 「競泳…上昇気流 起こせ/北島順調『重圧ない』」、「重量挙げ…三宅、手応え/最終チェック」、 「柔道…谷、平岡 ダブル金へ」、「体操…富田『美しく』」などと、にぎにぎしい。
 ついで、開会式について08・09第一面の「戒厳下 平和の祭典/史上最大 北京五輪幕開け/福原 第二の故郷で大役」は、 「(旗手を務める)19歳の少女は、特別な思いで日本選手団の先頭を行進した」で始まる…。 卓球による日中友好のシンボルとなった福原愛選手は、小学校入学前から中国で卓球の腕を磨いており、 同国でも「愛ちゃん」と大人気らしい。しかし、その中国は卓球でも強敵である。ニッコリばかりしておれるか。
 柔道での最初のメダリスト、またママさん選手谷亮子(32)は5大会連続のメダリストとなったが、銅で終わった。 かわりに愛息佳亮君(2)がウイルス感染で高熱を発し入院中とか(<代表選考で優勝しなかった>私ではなく、 他の選手を出してくれればよかった?! などとならなければよいが…《参考》08・10初戦敗退した男子60キロ級の平岡「金縛り 平岡焦り /『野村が出ていれば…』重圧はね返せず」)。
 しかし、08・11「内芝〈柔道男子66キロ級〉連覇/アテネ後低迷…再び女神/日本勢 金1号」と 「19歳 中村が銅/柔道女子52キロ級/平成生まれ初メダル」は第一面である。 ともあれ、2連覇した内柴正人(30)の名前は、初めて聞きましたねえ。報道のせいでなければ、私の関心が薄いんでしょうか。
 さて、自信家の北島康介(25)には平泳の100mと200mの連覇がかかっている。 11日にはまず前者で世界新記録により優勝したのは「スピード社の水着のせい」ではないらしい。
 気になるのは、マラソン2連覇と期待がかかった野口みずき(30)は、スイスの高地合宿から急きょ帰国した。 左脚肉離れとかで、出場はできてもメダルは無理とは大誤算では?!(補欠の指定も解除されているという)。 どうした、日本陸連! 何とか、出場させても、惨めな結果に終わらなければよいが……。
 レスリングやフェンシングなども予定通り(メダルに遠く)、進んでいるようだが、例によって国内で作られた人気ペア、 バドミントンのオグ・シオはあっけなく中国ペアに完敗、それほど目立たず愛称もないコンビ末綱・前田組は、 世界第1位の中国ペアを破って、メダルに期待がかかっている。ついで、12日の男子体操団体では地元中国には負けて、 アテネに続く2連覇を逸したが、エース富田の安定感や19歳の内山航平の鉄棒など、これからの個人競技に期待が持てそうだ、 なんて気ままな中間報告でございます?!
 ちなみに、開会式について、他の国の報道では08・09夕「次回五輪、演出ハードル上がった/英紙」とか 「スモッグをミストと呼ぶ北京/米TVはジョーク」を流したとか。
 もう一つは国内、08・09「デジタル家電 伸び悩み/五輪より 猛暑対策/エアコン売れ行き好調」などとある。

「サギまがい」
 ついに、わが家にもやってきましたねえ。
 えっ、サンタクロースがって?
 なに寝言いってるんだ、いまは八月、真夏じゃないか!
 そうじゃない、振り込め詐欺(の電話)だよ!

 私がちょっと近くまで出ていた昼前、さして忙しくない老人家庭だと狙いをつけたんだろうよ。 カミさんが、おっとり刀で応対したんだって。
 丁寧な口調の若い男から、二度も電話がかかってきたんだそうだ。
 最初は「橋本さんですか」というので、「ハイ、そうですが」と返事をしたところ、何か話し始めたたが、 こちらの反応が鈍いと思ったのか、切ってしまったという。
 しばらくすると、もう一度同じ男からかかり、今度は社会保険庁のものですがといい、 昨年の7月にお送りした"年間医療費控除"に関する還付金請求ハガキの締め切りが昨日までだが、 今日中に口座番号を記入して、投函すれば間に合いますというものだったという。
 相手のおしゃべりに、カミさんは冷静に返事をしながら、医療費はかかっているが控除の手続きはしていないことを思い出し、 なおも聞いていると、相手も「乗ってこない」と察したらしく、近くの保険事務所に電話をして確認してください、 といいつつ、一方的に電話を切ったそうだ。
 後で聞くと、もう少し「どうしましょう、何とかしなくちゃ…」と、慌てふためくなり、 真剣さの演技ができなかったものかと、チョッピリ後悔? した、ということであった。
 ところで、これは振り込め詐欺なのか還付金詐欺なのか、お金のない私にはよく分からない?!

「子供は、親も先生も選べない」
 いつも、気になるのはこの国の子供をめぐる問題である。
 東京08・08・08「不登校 中学34人に1人/2年連続増 小中学生12万9000人/保護者の意識に変化」によれば、 昨年度に30日以上欠席した"不登校"の小中学生は、前年度比1・9%増の12万9254人となり、2年連続で増えたという。 少子化で人数は減ったものの、比率が上がっている背景には、無理して登校しなくてもいいと考える保護者が増えたことが大きいと、 文部科学省は見ているそうだ。
 不登校の理由を、都道府県の教育委員会に聞いたところ、「人間関係をうまく構築できない子が増えた」(93%)、 「家庭の教育力の低下」(82%)、ついで「『無理に学校に行かせることはない』という保護者の意識が変化した」(65%)が上位を占めたそうだ。
 もう少し詳しくみよう。不登校のきっかけとして「いじめ」は3・5%で前年と変わらないが、 「無気力など本人の問題」(38・8%)、「いじめ以外の友人関係」(18・4%)や「親子関係」(11・1%)などが上位を占めている。
 思うに、"無気力"の原因は何かを調べなければ、不登校の"真相"は解明できないはずだが、問題は人間関係、 つまりうまくコミュニケーションが取れないということで、それは友人だけでなく親子の間でも、深刻なのではないか(後述)。
 うっかり、「勉強しなさい!」とか「成績が下がったじゃないの!」などといえば、親は闇討ちに遭う時代である。 反対に、「行きたくないのに、無理して行かなくても、死にやしないよ」とか、 「私だって、しょっちゅう休んだけど、何とかなってるもん」なんて発想も根底にあるかもしれない?!
 いつからか、子供たちを取り巻く環境は、ゲーム機やケータイ、パソコンなど画面を通しての情報が"現実"で、 生身の関係はバーチャルになっている。リセットすれば、殺した人間も生き返ると信ずる子供も多い。 相手を「うざったい」とか、「消し(殺し)てしまいたい」と思うのは自然の成り行きではないか。
 一方、「人間関係をうまく構築できない子が増えた」とか「家庭の教育力の低下」したなんて、 他人事のようにいう?教育委員会だって、校長の地位を売買するなんてことを平気でやるのだから、 彼ら自身も「家庭の教育力の低下」を身にしみて実感いることだろう。

 同じ日の別の記事08・08「児童虐待が過去最多/上半期 166人被害、29人死亡」を見れば、事態はさらに深刻である。
 被害児童の内訳は、暴行などの身体的虐待が120人で最多、性的虐待が34人、食事を与えないで長時間放置するなどの怠慢または養育拒否が12人もいる。 その年齢をみると一歳未満が30人(約18%)と最も多く、5歳以下の子どもは全体の約42%を占めるというから、 子供の私物化かつ弱いものイジメではないか。
 加害者はもっとすごい。1位…実母48人(約29%)、2位…実父44人(約27%)、3位…養父・継父34人(約21%)とるが、 どんなメダル(処罰)を受けるのであろうか。
 この世に生を享けて、まだ満足に口も聞けない、いたいけな被害者、何年かすればピッカピカの一年生になっていただろうに。
 しかし、待っている現実は、上記のごとし。子供が生きるも死ぬも、親や大人の勝手次第ではないか。

(以上、08年8月12日までの執筆)


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