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むりやりエッセイ「(時に)一言コーナー」 7月上旬号

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ご参考までに/「改正銃刀法で禁止 業者悲鳴/カキ用ナイフが凶器!?」について

 本日朝刊の上記記事を読んで思い出したことがあり、参考までにご連絡する次第です。
 今回の問題は、秋葉原の無差別殺傷事件をきっかけに、両刃の刃物所持禁止という規制強化(銃刀法改正)が行なわれ、 一部の業種で使われる“商売道具”まで使用禁止という法改正でした。

 “歪んだ法改正”の前例というべきか、その昔、60年安保騒動のころ、少年非行が社会問題となり、 また浅沼稲次郎(社会党委員長、当時)が演説中に右翼少年に刺殺されるという事件も起こり、 「刃物を持たない運動」が全国的に展開される一方、国会では飛び出しナイフを全面的に禁止する改正案が審議され…。 そこで“飛び出し”たのが、有力な刃物業者を救うために“刃渡り5・5センチ以上”という規定でありました。

 詳細は、拙著『有害図書と青少年問題 大人のオモチャだった“青少年”』明石書店2002・11のp194〜p203をご覧いただければと思います。
 なお、各章のタイトルと見出しについては、わがHP「心-こころ-橋本健午のページ」にあります。 本件に関しては、第四章の前半です。小見出し「法改正を阻止した関の孫六の“威光”」
(http://www002.upp.so-net.ne.jp/kenha/media/media-ethics1.html)

 個人的な感想;
 “関の孫六”の場合は「名刀“関の孫六”以来七百年、刃物の都として栄えてきた関市の産業に致命的な打撃を与える」と全市を上げて請願した結果…、 詳細は国会議事録に譲りますが、ともかく修正意見“刃渡り5・5センチ未満は除外せよ”で、関市の業者は救われたのでした。

 その伝でいえば、日本人の食卓をにぎわす“秋の味覚”を供する広島県や宮城県のカキ業者を救うことも容易に出来たのではないでしょうか。
 両県の関係者に政治的圧力が欠けていたのか、いや国会議員にはカキ好きよりもキライな人が多かったのか詳らかではありませんが、 杓子定規的な法改正は、この国の多様性を否定する方向にますます向かいつつあるようです。

 蛇足ついでに;エコカーに乗ろうが、車は“走る凶器”であることに変わりありません。 ケータイは子供だけでなく、大人にとっても“有害”なツールですが、いずれも廃止せよどころか、規制は緩やかです。 なぜか。業界だけでなく、政治家や官僚たちにも“うまみ”があるからではないでしょうか。
 以上
《これは購読している東京新聞「こちら特報部」あてに、ファックス送信したものです。2009・07・07 橋本健午(ノンフィクション作家)》

(以上、09年7月14日までの執筆)


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