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とんだエッセイ 8月下旬号

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「小池にはまって…」
 参院選での惨敗を受けながら、「私の政策は理解された」と自己評価して、早々と"続投"宣言した安倍首相、 予定通り27日に内閣を改造した。その前、24日に出された自民党参院選総括委員会の報告書には、 「その敗因は首相の指導力不足にある」と記されているという。人事を一新したからといって、なにがどう変わるというのか。
 さて、近ごろは滅多に読まない夕刊フジだが、2週続けて次のような見出しが躍っていた。 8月19日号(週末特別版)の第一面に「小池返り血/防衛省人事抗争/不快感、自民に充満」とあり、 中見出しは「守屋氏 辞めさせたのは"功績"だが/変わらず後手の安倍」となっている。 1週後の26日号では「小池『切腹』打算 ドロ船内閣に距離?」とあり、中見出しは「『地位に恋々としない』アピール」で、 それは第2面「いかにもパフォーマンス/安倍求心力低下 改めて印象付け」と続いている。
 事の発端は、小池百合子防衛相が事務次官の処遇(退任勧告)に関し、ケータイ電話で二度も守屋武昌氏に連絡したが、 通じなかった(出なかった)という理由は、なんとも中高生のレベルではないか。 これに関し8月22日の東京新聞は「小池防衛相VS守屋事務次官 バトルを泥沼化」、「携帯で人事通告OK?/軽い扱い『常識外れ』」のほか 「コミュニケーション不足 露呈/傍受の可能性高く 情報漏れるおそれも」と、わが国の"防衛力"の脆弱性を懸念している感もないではなかった。
 だが、防衛大臣になって張り切っていたのかどうか、コンドリーサ・ライス米国務長官と会見したからといって、 自らを「マダム・スシ」(ライス→こめ→すし)と呼んでくれと、訳のわからない迷言で、日本のコンドリーサを自称するような軽薄な人物である。
 滞在先のインドで記者会見のおしまいに、わざわざ記者に向って、「私は辞めたといっているのよ、分かった」と念を押すほどの人物だ。 きわめつけは、27日の内閣改造後の記者会見で、「国防という重要課題にかかわり、まさに女子の本懐」("男子の本懐"はあるが、これは新語!?)だとか、 また、その国防の仕事について、「アイ・シャル・リターンの気持ち」だとか。 太平洋戦争のとき、フィリピンからの撤退を強いられたD・マッカーサーのセリフを真似するとは?!  この人、いつからアメリカ人になったの?!

「何とかの腐ったような…」
 独身の40歳の警察官が職務時間中も、片思いの女性に付きまとい、ついには殺してしまった挙句、 自殺したという事件は東京立川署員の話だ。女性(32)の勤めていた飲食店の常連となり、無断で彼女の自宅の住所を調べ、 勝手に訪ねてきたり、嫌がるメールを何度も送ったりと、相当なストーカーぶりだったようだ。
 さらに、立川署がいい加減なのは、そのようなサボりかつ迷惑行動を把握しておらず、細かく定められた勤務表の管理がずさんだった問題も起こっている。 しかし、警視庁の副総監は「極めて遺憾。亡くなった女性と遺族に本当に申し訳ない。捜査および職員の身上調査を尽くして、 この種の事案の絶無に努めたい」と、木で鼻をくくったようなコメントを出しているにすぎない(東京8・22)。
 警察官も人の子だが、これではいざという時の治安対策も、怪しいものではないか。
 一方、誰でもいいから金を奪おうと、行きずりの女性(31)を殴り殺して、金を奪った初顔合わせ3人組による凶行は愛知・岐阜両県にまたがっていた。 「路上で女性拉致し殺害/犯罪サイト仲間3人逮捕/岐阜で遺体発見」(東京8・27)によれば、「犯罪の仲間や協力者を募るのにも利用されているインターネットのサイト"闇の職業安定所"で一週間前ほど前に知り合った」 素性を明かさない連中で、それぞれ40,36,32歳という、多少や社会常識や分別もあろうかという男たちだ。
 しかし、「誰でもよかった」「金を奪うなら女性がいい」とか「名古屋市内で打ち合わせのようなことをした」そうだが、 ”計画的”犯行のわりには、すぐに一人が警察に通報して来た。「女性から7万円奪った。顔を見られたので、たたいて殺した」といい、 はじめから口に粘着テープをまいたり、手錠をかけるなど相当に残虐な連中なのに、「死刑が怖くて自首した」などとは、 ずい分身勝手な言い分ではある。
 一人は朝日新聞のセールススタッフだが、無職などいずれも金に困ったところが共通点か、車を自宅代わりにする男もおり、 それが犯行の"道具"ともなっている。
 何の罪も落ち度もない、無関係な女性が一人で歩いていたからと集団で危害を加えるとは、それだけ日本の男たちは自信も自制心もなくなったのか。
 「三人よれば文殊の知恵」どころか、今やネット社会は、大の大人を幼稚化する"道具"でしかないのかもしれない。

「マナー考」
 今月の土曜日発行の「夕刊フジ」に4回、「使える!!シキタリ講座」の一つとして、「橋本健午さんに聞くビジネス現場の言葉遣い」が掲載された (スペースは毎回、A4版の4分の1ほど)。
 まず、私の紹介として(1)メモ編…「人気作家・故梶山季之氏の助手を長年務め、 『言葉づかいとマナーが3時間でマスターできる本』(明日香出版社)』の著書もある橋本健午さん=顔写真=」、 ついで(2)メール編…「ビジネスでの言葉遣いに詳しいノンフィクション作家、橋本健午さん」、 (3)接客・訪問編では「ビジネス現場の言葉遣いに詳しいノンフィクション作家、橋本健午さん」と微妙にちがい、 (4)断り方…「ビジネス現場での言葉遣いに明るいノンフィクション作家の橋本健午さん」と、編集者は細かな神経を使っているものですねえ。 これでは、本人は照れるばかりです?!
 このような企画がどれぐらい役に立つのか、よく分からないが、ある友人は「(仕事柄)やはり年配者が多く言葉使いには気をつけます」というメールを送ってくれた。
 しかし、上記のような著書をもつ身として、実践ではどうだったか。(2)メール編での実例が出てきた。 4年前、エディタースクールの学生(24歳、女性)への返事に、次のように記している(03年5月)。
 「まず、昨日の復習から。/メールの書き出しに、自己紹介をすべきといいましたが、その前に、送る相手の名前(**先生とか、**++様)を、書くことです。 /分かりきっているではないかと、反論がありそうですが、礼儀として、相手の名前を書くことです。 /だれでも、手紙(文章)を読むとき、どのような内容なのか最初の段階で知りたいものです。 /たとえば1行目に、「橋本先生」と書き、1行あけて「本日はありがとうございました。」などと書くだけで、 あなたの"気持ち"は通じます。/つまり、限られたスペース内で相手に通じる"情報"をいかに多く盛り込むかという工夫を心がけましょう。
 そういえば、上記の拙著が出た時(01年3月)、ある会社の社長である友人は買って読んだあと、秘書嬢に差し出したところ、 「何か粗相でもありましたか」と反論され、「いや、友人の書いた本だよ」と慌てて付け加えたそうだ。
 げに、マナー(言葉づかい)とは難しいものである。

(以上、07年8月28日までの執筆)


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