とんだエッセイ目次

とんだエッセイ 11月下旬号

11月上旬号       12月上旬号


「学力テスト、以前の問題?!」その1
 そこで生まれたわけではないが、十代のころ約7年間住んでいた大阪に関する情報は、時に気になるものである。
 最近見たのは、次のような記事であった。「全国テスト 大都会大阪府大苦戦/生活安定度 影響も/環境整備 社会の宿題」(東京11・04)によると、 大阪の場合「高い離婚率 完全失業率 識者"経済的困窮 大きい"」という理由があげられているそうだ。
 志水宏吉大阪大学大学院教授(教育学)がいうには、「お笑い文化が浸透する大阪では、国のテストを冷ややかに見るなど独自の要因もあり、 背景は複雑だが、経済的に困窮している家庭が多いのは大きいだろう」といい、「学力向上に、安定した生活環境が大切なのは過去の調査でも明らか。 大阪ではひとり親家庭も多く、生活に手一杯な状況が、学力に影響している」と見る。
 大阪の完全失業率は沖縄に次ぐ高さ(5・7%、全国平均4・1%/06年度)で、公立小中学校生への就学援助の受給率も全国でトップだという。
 このテスト結果は、この4月、国語と算数・数学を全国の小6と中3の児童生徒を対象にしたもので、私立は有名進学校を含む約4割が参加していないそうだ。 しかし、大阪は、小中のいずれの課目も正答率が全国平均を下回り、47都道府県の45番目だったという。
 ちなみに、成績がよかったのは小学校では秋田、福井、香川で、中学校の場合は福井、富山、秋田だったという。 これだけでは、どこかの校長のように、児童の誤りを指差し、正答率を高めようとするなどの"カンニング"もあるのでは勘ぐりたいところだ。
 しかし、同時に行われ児童の生活習慣調査(「早寝、早起き、朝ご飯」など)によると、「朝食を毎日食べていますか」に、 「食べている」と答えたのは秋田、福井では全国平均の86・3%より高く(89・4%、88・5%)、大阪は81・3%であり、 "寝る・起きる"の時間がきちんとしているかどうかも秋田、福井は全国平均より高く、大阪では低かったという。
 つまり、大阪の子供たちはお笑い番組などを夜遅くまで見るため、朝は早く起きられず、遅刻しないように朝食も抜いて…というところだろうか!?
 朝食ならぬ、冗談は抜きにして、商都オオサカになにが起っているのか? 戦前の大阪について、子どもの教育・学力だけではない問題点が指摘されている資料を思い出した。

「学力テスト、以前の問題?!」その2
 簡単に比較すべきものではないが、学齢期の子ども、というより赤ちゃんを取り巻く環境、あるいは親の問題についてである。
 松本亦太郎著『父母の態度』23〔日本児童の素質〕によると、赤ちゃんの死は、その素質による場合と、扱い方(外因)によるといい、 「乳房で窒息させられる」など親の不注意などが挙げられている。
 1922、23年の調査によると、赤ちゃんの死は大阪府で1,000人のうちに233人といちばん多く(全国平均166人)、 ついで青森県(230人)で、秋田県、山形県がつづき、低いのは鹿児島県で約108人とある。 また、京都は182人、東京府〈都〉は159人となっている。
 大阪府が高いことについて、「嬰児の素質が弱いのか、あるいは境遇が不良であるのか、あのような製造工業の盛んな土地であるから、 不衛生なところがあるのか、あるいは親の不注意であるのか」一切分からないとしている。
 ところが、である。松本先生は「男女関係の頽廃していることが、かなり影響して来るのではないか」と思われるとし、 それが「大阪、京都の方に比較的多い」。統計的にも「男女の性的観念の硬軟というものが、嬰児の死亡に、 非常な影饗を及ぼしているらしく考えられる」というではないか。
 ついで、私生児に言及して曰く、「私生児の割合は、その国々の男女の風儀を現わしている。 私生児の多いところは男女の風儀が乱れている」とし、「近畿すなわち京阪地方、中国、四国は私生児の割合が多い」。 そして、「もしこれが男女の風儀を現わすものだと見れば、大阪が風儀の不良の方のチャンピオンである。 大阪は商業道徳は大いに発達しているということであるが男女道徳、性的関係においては大阪や京都は東京よりはるかに劣っている」と、 結論づけていた…。
 《ちなみに、私生児の対語として"公生児"という表現が見られる。いま、字書にもないが、公私混同という言葉は広く使われている…(本書は1931年初版)》

「わたし買う人、カミサン売る人?!」
 カミサンは、長年フリマをやっている。半年前までは、市の公認のそれで、役員を務めるほか、時に出店もしていた。 出店の時、会場まで自転車で何回か"商品"を運ぶのはちょっと大変であったが、最近は大学生の息子が主に手伝っていた (クルマ利用は不可)。
 さて、日曜の今朝は9時から、すぐ近くの公園でという自主的なもので、さして規模も大きくない。 寝ぼけ眼の息子が2,3回品物を運ぶとまたベッドにもぐり込んだ。
 私はもっぱら"後方支援"=米軍のイラク戦争に加担するわが自衛隊(給油部隊)のようなもの。 そう、"法律"も切れたことだし、もう行かなくてもよい、という心境になって、このコラムに何を書こうかと思案していると、 ケータイが鳴った。
 カミサンからで、小さな椅子と、(忘れた)水を持ってきてほしいという。まあ、様子見をするのも"夫婦愛"のひとつだと思い、行ってみる。 天気もよく、暖かである。
 一坪ほどの店には冷やかし客もおり、それなりに活気がある。しかし、500円のものを350円しか持っていないからマケろといいつつ、 また買うからというニッポンのオバサンやら、1,000円の値札をわざと100円と読む隣国人などもおり、気を抜けないらしい。
 いっとき眺めたあと、家に戻り、まだ書くテーマが見つからないと、あれこれ考えているところへ、またケータイである。 今度は、(お客さんの胴回りを測る)メジャーをというので、裁縫箱にあるものを持っていくと、新たに「100円玉が足りなくなった」というではないか。
 いま、世間ではどの店も両替をしてくれない。後方支援には含まれていない"特約"事項であるが、国家の非常時である。 家に戻り、千円札数枚を持って、コンビニで100円以下のものを買い回る作戦を思いつく。
 自転車を引っ張り出し、いちばん近いA店で、まず「**市燃やせるゴミ袋5」(84円)を買うと、千円札は500円玉1つ、 100円玉4つ+16円となった。
 ここで、「お釣は100円玉でお願いします」と言えば上出来だが、気の小さい私は黙って出て、次のB店に向う道々、 ゴミ袋ばかり買い占めると、怪しまれると思い、なにか安いものはないかと、また思案をめぐらす。
 思うに、人間窮地に陥ると、とんでもない知恵が働くもので、「極上のひとくち豆クッキー」(70円)という、 一度もお目にかかったことのない品物に手が伸びていた。女店員に怪しまれないかと気をもみつつ、しっかり500円玉を出し、 430円のおつりとビニール袋に入れられた商品を受け取り、借り物競争か買物競争か知らないが、カミサンのところへ一目散。
 100円玉8枚とクッキーを受け取ったカミサンの「これだけでいいわ」という声を背に、私は次のコンビニを目指して、 自転車に乗っていたのだった。
 別のルートにあるC店では「野菜一日これ一本200ML」(105円)に1,005円を出し、次いで、スーパーの中にある100円ショップD店で、 少しは仕事に役立つ?「エンボスクリアホルダーA4」(5枚入り、105円) に500円玉と10円玉を出すという、 だれも喜ばない"自己満足"的な買物をし、再び巣で待つ母鳥のところに、飛んでいったのであった(「ああ、父帰る!」)。
 ただいま12時30分、3度目のケータイがなった。「終ったので片付けにきてほしい」との伝言を、息子に伝える。 さて、カミサンの商売はいかがであったか、これ以降は国家機密のため、お伝えできないのは残念!?

(以上、07年11月20日までの執筆)


ご意見、ご感想は・・・ kenha@wj8.so-net.ne.jp