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「ミニ自分史」(44)「失業保険、その対策の果て」

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 2005年末に、サラリーマン生活を辞め、失業保険(正しくは、雇用保険)の手続きをするのだが、 スンでのところで元勤め先の総務(経理)事務に不慣れな女性によって、それがフイになるところだったらしい。 大げさに言えば、フリーになって、人生最大の躓きを回避したおかげで、今日がある?!
 その年1月下旬のある日、府中の公共職業安定所に出向き、受給資格決定を受け、「受給資格者のしおり」という52ページに及ぶ冊子を押しいただく。 このしおりをご覧になった方はお分かりだろうが、"失業手当"をもらうには、なかなか厳しい条件がならぶ。
 そして、2週間後に説明会があり、その翌週が初回認定日となるのだが、慣れていない私は早くもトチる。 型どおりの質問に、「働く意欲をなくしまして…」と正直に言ってしまい、「それでは、ここに来る意味がありませんよ!」と若い係官に叱られた。 つまり、給付は「生活の心配をすることなく新しい仕事を探すことに専念し、一日も早く再就職」するためであって、ぶらぶらしながら、 月に一回顔を出すことではなかった。
 改めて、働きたい仕事は経験上、出版関係と答えたが、都心ならともかく、求人票をいくら繰っても、 府中やその近辺にそのようなところはない。また、退職は自己都合だから、3か月の"お仕置き"期間を経なければ支給されないことも聞かされた (給付日数は、勤務年数と年齢の制限で240日)。ちなみに、それまで私のもらっていた報酬は世間の標準より高かったからか、 基本手当日額は上限額(10,510円)であった。
 その後、月1回の認定日に出向き、求人票をいくつか見たりして、順番がくると係官の前にすわり、 これまでの就職活動(いまや"就活"という!!)や「内職手伝」を申告して、その月の基本手当てを振り込んでもらう、 という繰り返しであった。
 では、どんな「内職手伝」をしていたか。以下は「雇用保険受給資格者証」のウラ3枚にわたる状況である ("有償"とある以外は無償か、この期間に支払いはない)。

 1回目(2月)の申告:1日…1・31出版倫理協議会打合せ(有償)/2日間…1・26出版研究会打合せ、2・2専門学校打合せ
 2回目(5月):1日…3・22専門学校新年度講師会(有償)/8日間…2・15,3・4,4・19出版バーコード研究会打合せ、2・20,3・21雑誌公正取引協議会打合せ、 2・29友人との出版関係新規事業打合せ、4・8漫画化プロデュースについて打合せ、4・17単行本作成について打合せ/1日… 4・30専門学校新学期カリキュラムの打合せ/1日…5・7専門学校第1回講義(有償)、そして、5月上旬、最初の支給日を迎える。
 3回目(6月): 1日… 5・14専門学校講義(有償)、/6日間…5・9出版企画相談、5・10,5・15,5・29,6・3雑誌公正取引協議会打合せ、 5・31録音テープ起こし/2日間…5・21,6・4専門学校講義(有償)
 4回目(7月初): 7日間…6・5出版企画打合せ(1.0h)、6・7雑誌公正取引協議会打合せ(1.5h)、 6・11,6・14専門学校打合せ(各1.5h)、6・18専門学校講義(有償)、6・21出版企画打合せ(1.5h)、 6・28単行本発行(文集作成)打合せ(2.5h)
 5回目(7月末): 6日間…7・4出版企画打合せ(1.5h)、7・6嘱託ライターについて(1.0h)、 7・9専門学校講師会(1.5h)、7・11,7・18専門学校講義(有償、2.0h)、7・11解説書作成打合せ(1.5h)、 7・19速記テープ起こしについて(1.0h)
 6回目(8月): 8日間…7・31,8・2懸賞問題打合せ、8・1,8・20,8・22専門学校講義(有償)、 8・10"マスコミ科"テキスト作成(合宿2日間)、8・14広告関係(部数データ)打合せ、8・15文集作成打合せ
 7回目(9月): 5日間…8・28コラム企画打合せ(1日1.0h)、8・29社史の作成について(1日2.0h)、 同日、日刊現代で打合せ(2.0h)、9・5専門学校講義(有償1日、2.0h)、9・17テキスト作成打合せ(1日2.0h)、 9・18文集作成打合せ(1日2.0h)
 8回目(10月): 5日間…9・27解説書作成打合せ(2.0h)、10・2文集作成打合せ(3.0h)、 10・7カリキュラム作成打合せ(1.0h)、10・8専門学校講義(有償2.0h)、10・17懸賞問題打合せ(1.0h)
 9回目(11月): 5日間…10・24,10・31専門学校講義(有償各2.0h)、10・29,11・8文集作成打合せ(各3.0h)、 11・14解説書作成打合せ(2.0h)
 10回目(12月): 5日間…11・20公取委公聴会、11・28文集作成打合せ、11・28専門学校講義(有償)、 11・29説明会と解説書について、12・10雑誌公正取引協議会説明会
 11回目(97年1月): 4日間…12・19文集作成打合せ(2.0h)、12・27解説書作成(ゲラ点検、1.5h)、 1・6インタビューのテープ起こし(2.0h)、1・9専門学校講義(有償2.0h)

 そのほとんどを忘れていたが、この一年は"働く意欲"をなくした割には、精力的に活動していたようだ。 その分、支給額は減らされていたようだが、よくぞ一年間、がんばったものである。
 たとえば、ある専門学校の講師を続けるなか、"合宿"をして、のちに完成したのが98年1月刊行の『わかりやすい仕事文を書く』である。 "古巣"の仕事もかなりやっていた。一つは雑誌公正取引協議会で使われる解説書「雑誌懸賞・景品基準―97年版―」の作成であった。 これは雑誌の懸賞やプレゼントに関するもので、発行は97年4月とある。もう一つは「出版バーコード研究会」で、 雑誌につける個別の認識番号であるバーコード関係のもので、のち、その推進役を主人公にしたノンフィクション、 『バーコードへの挑戦―浅野恭右とその時代―』を98年10月に上梓した。 なお、"文集作成打合せ"とあるのは、98年2月発行の梶山美那江編著『積乱雲 梶山季之 その軌跡と周辺』での仕事である。
 余談だが、この年9月、名古屋の病院で、91歳10か月の母が亡くなっている。市営住宅で同居していた姉が病没したのは、 その5年ほど前である(享年60)。


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