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名入れ色紙   第6回 色紙を書く"効用"

{その六}色紙を書く"効用"

 これは、贈って喜んでもらえれば…の講座ですが、それを継続することによって思わぬ効果も得られます。 まず、より言葉を覚える、ことわざや熟語に関心が向き、ひんぱんに事典・辞書を引くようになるからです。
 言葉遊びをすることによって、知的好奇心が芽生え、ナゾかけの面白さを知り、 ウンチクも増すことでしょう(ただし、ウルサがられないように)。

 もっともよいところは、1.気持ちに余裕が出てくること、2.自らを客観的に見られるようにもなる、 3.シャレのめすことによって、幾分かストレスの解消、にもなっております。
 年齢・立場に関係がなく、いつから始めてもよいものです。 私は三〇代後半からやっており、これまで折にふれて三〇〇枚以上も贈っております。 続けるヒケツは、効果を期待しないことです。
 私はいつも「迷惑ならば捨ててください」の一言を添えております。 あとは野となれ……で、差し上げたものに未練を持ってはいけません。

◎継続することに意義がある
 当初は必ず硯・墨・筆を使ってやらなければと、私も長年それを"墨守"していたのですが、 アイディアと気持ちを込めることが第一と思い、最近では筆ペンに頼ることが多いものです。
 継続させてはじめて、趣味となる? といえるのではないでしょうか。

 先に"あなた独自の言葉を"といいましたが、思いついた言葉を手帳などにメモをしておき、 二、三日経っても、残しておきたいと思うならば、冊子型の白いノートや白い本などに、 色紙に向かう気持ちで書きつけることです。
 冊子型はやり直しがききませんから、真剣に書くことになります。効果的な練習法といえるでしょう。
 少し余裕の出てきた方は、ペンネームや雅号、あなた独自のシンボル(マーク)を考えるのもよいでしょう。 サインも色紙を際立たせる重要な要素ですから。

◎どのように贈ればよいか
 最後の仕上げは、もちろん書いた色紙を相手に直接、手渡しすることです。
 しかし、結婚式などに出られない場合は、信頼する人に託すことになりますが、その意義を良く理解し、 邪心なく、気持ちよく、タイミングよく渡せる人を選びましょう。
 いずれの場合も、色紙をそのまま渡すのではなく、袋、それも和紙の色紙(いろがみ)を利用した手作りの袋であればなおよいでしょう。  どこまでもオリジナル、手作り、一つだけに価値があるのです。贈るときは、そこまで気を遣うことです。

◎貰った場合は
 飾っておくには、額に入れるのが望ましいのですが、透明のラップなどの簡易包装でも、 飾る場所を選ばず、ほこりを被らず、いつまでもキレイに保てます。
 いつも見えるところにおいて、励まされたり、贈ってくれた人に感謝したり、 長寿を願ったりするのもいいものです。「名入れ色紙」の効用はさまざまです。

〈参考文献〉
『色紙・短冊・扇面・茶掛の書き方』(坂田聖峰著・日貿出版社1978) /『誰でもできる 色紙・色紙掛・軸装のすすめ』(藪田夏秋著・日貿出版社1983) /『新撰 墨場必携』(小尾郊一監修・中央公論社1985) /『二玄社版 日本書道辞典』(小松茂美編・二玄社1987) /『色紙を書く 見て楽しめる作例四〇〇』(吉野大巨/渡部半溟著編・教育書籍1994)

【おわりに】
 6回にわたり、趣味の講座「"名入れ色紙"の楽しみ方」をお送りいたしましたが、いかがでしたでしょうか。
 日本語の面白さ、相手の顔を思い浮かべながら言葉を創造する楽しさ、色紙を書く効用などを得られれば、望外の喜びです。  2003年6月 橋本健午


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