「統計調査の現実」
5年に1回行われるのは国勢調査だけかと思っていたら、何でも住宅・土地統計調査というのもあり、わが家にも調査員(民間人)がやってきて、
10月1日時点での状況を書き込めという。まだ、よく見てはいないが、住人数や婚姻の別、勤めか自営か、家賃、面積、土地は誰の所有か、
年収など、かなりの個人情報が危ない?! なお、この調査はその対象をアトランダムに選んだもので、全国民ではないそうだ。
9月18日の朝刊に載った政府広報(総務庁)には「住宅・土地統計調査を実施します!!/〜見えてくる 日本の暮らし 住まいから〜」とあり、
その要点は「●10月1日時点の状況を調査します。/●豊かな住生活を実現するための大切な調査です。/●調査員がうかがいましたら、調査票への記入をお願いします。」と簡単な"広告"で、
後はホームページを見れば分かるということらしい。
ホームページには「住宅・土地統計調査(5年ごと)は、我が国の住宅とそこに居住する世帯の居住状況、世帯の保有する土地等の実態を把握し、
その現状と推移を明らかにする調査です。この調査の結果は、住生活基本法に基づいて作成される住生活基本計画、土地利用計画などの諸施策の企画、
立案等の基礎資料として利用されています。」《ただし、これは前回(平成15年)のものである。ちなみに、この調査の最新データは平成12年4月発表の平成10年10月1日現在のものである》
ところで、カミさんの友人は、市の委託を受けて国勢調査もやったそうだが、今回ばかりは手こずったと、まだ回収がすんでいないのに、ぼやいているという。
市の説明では、午前11時から12時、夕方5時から6時の時間帯に回れば、配布と回収も効率的ですよ、ということだったが、
「とんでもない、単身者のアパートが多く、朝はいないし、夕方もいつ帰ってくるか分からない、いても居留守を使う」というのが現状だったそうだ。
愚痴の聞き役だったカミさんによると、もっと腹が立ったのは、市の職員はアパートや小さなマンションの住民の実情を知らないばかりか、
必要事項を記入した調査票の回収は、(1)指定された日時に受け取りに行く、(2)郵送する、(3)持参する、の3通りあり、(3)の場合は事前には分からず、
「届ける」と市役所に連絡があったりすると、担当者がその地区の調査員に、「取りに行かなくてもよい」と電話連絡して来るそうだ。
しかし、ある日、たまたまその友人が仲良しグループと外出している時間に、電話があって、已むなく留守番のご主人が受けていたという。
かいつまんでいうと、市の担当(女性職員)からの伝言は、まず「区分Aの番地B…、Cさんは持参するというので、取りに行かなくても結構です」ということだった。
ご主人はメモをきっちりとり、復唱して受話器をおくと、「やれやれ女房は一つラクになったな」と安堵したそうだ。
しばらくすると、先の女性職員から電話で、別のアパートに住む方の、やはり「持参する」旨の連絡が入ったという伝言を受け、
メモしたが、「間違いのないように、お願いします」とまるで"年寄り"扱いするような言い草にカチンと来たそうだ。
さらに夕方近く、もう一度電話が鳴って、同じ女性が「たびたび申訳ありませんが、3件目です」と切り出し、
「○○さんから、いま受取りました」といったのは、最初のCさんであったので、日ごろ温厚なご主人も「それは最初の方ではないですか」というと、
相手は「ちょっとお待ちください」といい、一呼吸おいた後、「だれかが連絡していたのかもしれませんね。申訳ありません」と答えた。
「いや、あんたじゃないか」と声を荒らげると、相手は再び「お待ちください」といい、代わって出たのは男性職員で「申訳ありません。手違いがありまして…」などと謝る姿勢を見せたが、
ご主人は思わず「調査員は不在の人を訪ね、何度も足を運んで苦労しているのに、あなた方は机の前に座っているだけで、まともに仕事をしていない証拠じゃないかっ」と、怒鳴ったそうだ。
思うに、これで何かが改善されるかというと、ほとんど変わらないであろうことは、役人の仕事だからである。いや、日本人だからであろうか。
「長生きは…」
東京08・09・17夕刊によると、国民の祝日と制定された敬老の日(1966・9・15)、65歳以上の高齢者人口の総人口に占める割合は6・5%だったが、
その後だんだん増え、3年前には20%、つまり5人に1人となっているそうだ。ということは、昨年遅ればせながら仲間入りした私たちは1%ぐらいアップに"貢献"しているのだろうかしらん?!
しかし、これは年配者の元気なせいだけではなく、少子化と子殺し、無差別殺人、多くの死刑囚の短期"処刑"、10年連続の3万人を越える自殺者などのため、
相対的に割合が増えているのではないかと、思うのだが……。
もう一つ、09・12夕刊は、長寿者はさらに元気だと数字をあげて伝える。「超ご長寿/100歳以上女性 3万人を突破/男性も最多5000人台 厚労省調査」によると、
前年より全体で3,981人も増えており、男性では28年、女性は38年と連続で過去最多を更新しているそうだ(なんだか、イチロー選手の8年連続200本安打も、霞んでしまうみたいだ?!)。
そして、男性は初めて5千人台となったという。
もう少し引用すると、女性のほうが長寿なのは世界的なようだが、今回の調べでは、450人増の男性に比べ、3531人の増、その割合は86・0%という。
また、最高齢は113歳の女性で、男性はわずか数日遅れで同じ年になるらしく、彼はギネス・ワールド・レコーズ社により男性の世界最高齢と認定されたそうだ。
でも、世界記録も女性の日本最高には叶わない。男はどこまでいっても肩身が狭い!!
別の比較データによれば、100歳以上は人口10万人に平均28・39人を占め、都道府県別では沖縄県が36年連続トップの61・03人、
最も少ないのは埼玉県で14・22人、19年連続という。ついで、愛知、千葉、青森、神奈川と続くそうだ。
思うに、首都圏では働き盛りや子どもたちが多いからかなどと思うが、では青森、愛知はとなると、念入りに分析をしなければならない。
間違っても中山国土交通大臣の最後っ屁のように「民主党が政権をとれば、(日本は)大阪になる」などといってはいけない。
ましてや、晴れて初入閣した総務・地方分権担当相のように「私は素人だから何も分かりません。よろしく」などと、逃げてもいけないでしょうな。
ちょっと脱線しすぎたが、話をもどそう。年を取っても、元気でいられれば本人もまわりの人もハッピーだろうが、一人暮らしであったり、
小金をもっておれば振り込めサギの被害にあったり、ずさんな後期高齢者医療制度の天引きだ振込みだなどという役人の朝令暮改に振り回されるなど、
老後も楽ではない一面もある……。
「ゴーヤー その後」
当コラム本年7月上旬号(7月1日付)の「わが"ゴ"育ての記 中間報告(後篇)」で、わが家のゴーヤーに関する生育状況に、
12歳女子中学生の投書「壁面緑化をより進めて」を紹介したほか、「世間ではどうか。杉並区役所だったか、ヘチマにキュウリに朝顔、
ゴーヤーと動員した本格的な"緑のカーテン"作戦を展開し、今年は20メートル以上を目指すとか、テレビでやっていた。」と記した。
その杉並区役所のゴーヤーその後について、しばらくまえ東京新聞に「杉並区役所 壁覆うヘチマやゴーヤー/緑のカーテン 目指せ世界一
/『日本一』の高さ約25メートル、ギネス申請へ」(09・20夕刊)と紹介された。その記事を読んで、私は杉並区役所の目的はギネスブック掲載にあったのかと、
その不純な動機に唖然としていたところ、同区在住の婦人(61)の憤懣やるかたない風情の投書が、本日の同紙に載った。
では、10・07「発言」ミラー「『税金で緑の壁』に不満」から"税金の(寒気がするような)使い方"を紹介しよう。
区環境課によると、ヘチマ、ゴーヤー、キュウリ、朝顔で合計459本を植え、自動注水装置付のコンテナ28台を購入して500万円、
メンテナンス費用は180万円、合計680万円かかっているそうだ。そこで、投書婦人は計算する。ゴーヤーなど苗一本に約14,800円かかっていることになり、
「ため息が出てしまった」そうだ。
しかし、この婦人は冷静な方らしく、他所の例をあげ比較する。他の新聞で埼玉県三郷市役所の場合を読んだところ、
そこで育ったゴーヤーを保育所や学校の給食でチャンプルーにして出して評判は上々だったこと、同市環境保全課によると、
かかった費用は16万円、市の予算は使わず募金で賄ったとある。
ひるがえって、杉並区役所について「区職員は(ギネスへの)申請用の書類作りに時間を使っているのだろうか。
行政の仕事とは何なのか。…」などと疑問を投げかけ、さらに東京23区の公立小中学校の普通教室でクーラーのないのは杉並区だけだといい、
「子どもたちに涼しい環境をつくるのではなく、どうして目立つ区役所の壁面に税金を使うのだろう」とある。
もっともな論旨であるが、区役所の職員は彼女の指摘どおり、"目立つ区役所"でやれば区民が誇りに思うだろうなどと勝手に解釈し、
税金の使い道も「これこのように、公明正大に使っております」とアピールしたかったのではないかしらん。
その上で、ギネスに認定されれば、さらに区民は喜ぶことだろうと、霞ヶ関や永田町のお偉い面々に負けず劣らず、
勝手な論理を振り回したかどうか、自己満足の世界を、メディアに煽られ舞い上がったからではないか、と愚考する次第?!
(以上、08年10月7日までの執筆)