これは、贈って喜んでもらえれば…の講座ですが、それを継続することによって思わぬ効果も得られます。
まず、より言葉を覚える、ことわざや熟語に関心が向き、ひんぱんに事典・辞書を引くようになるからです。
言葉遊びをすることによって、知的好奇心が芽生え、ナゾかけの面白さを知り、
ウンチクも増すことでしょう(ただし、ウルサがられないように)。
もっともよいところは、1.気持ちに余裕が出てくること、2.自らを客観的に見られるようにもなる、
3.シャレのめすことによって、幾分かストレスの解消、にもなっております。
年齢・立場に関係がなく、いつから始めてもよいものです。
私は三〇代後半からやっており、これまで折にふれて三〇〇枚以上も贈っております。
続けるヒケツは、効果を期待しないことです。
私はいつも「迷惑ならば捨ててください」の一言を添えております。
あとは野となれ……で、差し上げたものに未練を持ってはいけません。
◎継続することに意義がある
当初は必ず硯・墨・筆を使ってやらなければと、私も長年それを"墨守"していたのですが、
アイディアと気持ちを込めることが第一と思い、最近では筆ペンに頼ることが多いものです。
継続させてはじめて、趣味となる? といえるのではないでしょうか。
先に"あなた独自の言葉を"といいましたが、思いついた言葉を手帳などにメモをしておき、
二、三日経っても、残しておきたいと思うならば、冊子型の白いノートや白い本などに、
色紙に向かう気持ちで書きつけることです。
冊子型はやり直しがききませんから、真剣に書くことになります。効果的な練習法といえるでしょう。
少し余裕の出てきた方は、ペンネームや雅号、あなた独自のシンボル(マーク)を考えるのもよいでしょう。
サインも色紙を際立たせる重要な要素ですから。
◎どのように贈ればよいか
最後の仕上げは、もちろん書いた色紙を相手に直接、手渡しすることです。
しかし、結婚式などに出られない場合は、信頼する人に託すことになりますが、その意義を良く理解し、
邪心なく、気持ちよく、タイミングよく渡せる人を選びましょう。
いずれの場合も、色紙をそのまま渡すのではなく、袋、それも和紙の色紙(いろがみ)を利用した手作りの袋であればなおよいでしょう。
どこまでもオリジナル、手作り、一つだけに価値があるのです。贈るときは、そこまで気を遣うことです。
◎貰った場合は
飾っておくには、額に入れるのが望ましいのですが、透明のラップなどの簡易包装でも、
飾る場所を選ばず、ほこりを被らず、いつまでもキレイに保てます。
いつも見えるところにおいて、励まされたり、贈ってくれた人に感謝したり、
長寿を願ったりするのもいいものです。「名入れ色紙」の効用はさまざまです。
〈参考文献〉
『色紙・短冊・扇面・茶掛の書き方』(坂田聖峰著・日貿出版社1978)
/『誰でもできる 色紙・色紙掛・軸装のすすめ』(藪田夏秋著・日貿出版社1983)
/『新撰 墨場必携』(小尾郊一監修・中央公論社1985)
/『二玄社版 日本書道辞典』(小松茂美編・二玄社1987)
/『色紙を書く 見て楽しめる作例四〇〇』(吉野大巨/渡部半溟著編・教育書籍1994)
【おわりに】
6回にわたり、趣味の講座「"名入れ色紙"の楽しみ方」をお送りいたしましたが、いかがでしたでしょうか。
日本語の面白さ、相手の顔を思い浮かべながら言葉を創造する楽しさ、色紙を書く効用などを得られれば、望外の喜びです。 2003年6月 橋本健午