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とんだエッセイ 7月下旬号

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「ああ、参院選挙」その前
 キャッチフレーズは、簡潔であるほど、訴えるものだろうか。投票日の当日、朝刊に全面広告による与野党党首の"対決"を見よう。
 まず、安倍自民党「皆さまの怒りと不安を、/安心と期待、/そして希望へと変える。それが、/与党・自民党の責任です。  改革実行力/自民党」(党首の顔写真は紙面の8分の1程度、マズマズ…。文字数はこれですべて)。 ついで、小沢民主党「あなたへ。 国民の生活が第一。/民主党」(同、80%ほどでデカイ!!  上記「あなたへ。」はこれだけで、下段ヨコ一杯に広がる)。
 そして、デカイ顔の横に、「働くあなたへ。」から「おじいちゃん、おばあちゃんであるあなたへ。」まで具体的に"あなた"が9つもあり、 そのあと少し文字を大きく「あなたの生活より、/大事なものは/ありません。」。 これを受けて「私はこの国を必ず立て直し、あなたが安心して暮らせる社会を、つくりあげます。」として自筆のサイン「小沢一郎」がある。 うーん、いずれも抽象的、甲乙つけ難いですなあ。
 読者はどう見るか。その前から、両党は新聞やテレビも使って、これ宣伝に勤めているが、それらに対して、 「二大政党に偏りすぎではないか」と指摘する読者の声もある。仔細は分からないが、キャンペーンは独自のものであろうし、 広告をそのまま載せるのは昔から変わらない。さらに、これら"意見広告"の料金は通常の倍額と聞いたことがある。 出すほうも載せるほうも商売であるから、"偏向"はないであろう。
 問題はそのメッセージ(内容)である。お金がタンマリあるらしい自民党は7月14日付カラー全面広告に曰く、 「皆さんの年金は、/自民党が/しっかり守ります。  社会保険庁改革を推進してきた自民党だからこそ、対策も迅速に断行できます。云々」とある。 ついで21日付「これからの日本のために、/自民党は改革を/貫きます。 社会保険庁「改革」を断行し、 年金をしっかり守ります。(他に、公務員制度改革、教育制度改革、強い農業への改革)」。
 ここで、問題なのは"しっかり守ります"が、14日付では"国民の年金"とはっきりするが、21日付では"国家の年金(財源)"とも取れ、 これはムダ遣いの原資となりかねないではないか。国民は"しっかり"見守らなければなるない。
 もっとも、民主党は13日にも小沢代表が「あなたの生活より、大事なものはない。」と"絶叫"している絵柄だが、 この「生活より」は「生活ほど」とか「生活以外に」ぐらい強調したほうがよいですなあ。
 蛇足ついでにもう一つ、朝刊第一面左下の小さなスペースは、「政府広報」の定位置だが、前小泉首相の例に習ってか、 自民党は21,22,25日に「改革実行力。成長を実感に」とアオ白抜きで統一したレイアウトで、 「天下りや談合を根絶します。「渡り鳥」は許しません。」などと、これこそ"アルツ…"いや"子ども"だって分かる、 不可能なことではないかしらん。
 さらに加えれば、公務員が天下り先をいくつも渡り歩く"渡り"を、こともあろうか、自然界の"渡り鳥"が字を読めないからといって、 同一視する表現は彼らに失礼ではないか?!

「ああ、参院選挙」その最中
 投票日前日に雨が降らなくて、隅田川花火(の関係者に)は良かったですねえ。98万人だかのお客さんにも。 わが街の場合、今月定例だったのを9月に延期してしまったらしい。選挙も水モノですからねえ。 当日は各地で雷雨となったが、投票率は前回を上回ったとか。メデタシ!!
 そうだ、不在者ではなかった期日前投票の話をするのだった。今回は、その数1千万人を超えるのではないかといわれる。 一時は、某宗教団体を支持母体とする組織的な投票行動と噂されていたが、今回は年金問題や、政治家不信など、 憲法改正もかすむ状況で、居ても立ってもいられぬ有権者が各地で事前に投票したのではないか。 この予測が正しいならば、早くからだれに投票するか、決めていた人が多かったということか。
 いつも、午後に投票所に向う私だが、当日は8時ごろに行ってみた。会場に近づくに連れ、子ども連れを含め、投票に行く、 あるいはもう済ませたらしいと分かる人たちがやたらに目立つ。やはり関心が高いのか、などと政治評論家あるいは政党関係者なみに、 感慨にふけったものである。
 果たして、その結果はどうなるのか。苦戦を強いられ、頭が痛い? 安倍自民党、いや総務庁は、各テレビ局の報道関係を呼びつけ、 午後8時の開票前後から始まる"当選""当確"などの予測を自粛するようにと、申し渡したそうだ。
 私個人としては、「《ミニ自分史》(52)「74年夏・雑感」」でふれたように、 なぜ各局きそって速報するのか、そんなに急いでどうする、という気持ちは変わらない。
 たとえは悪いが、サッカーのオシムジャパンがサウジアラビヤに敗れる前にテレビの前を離れ、 3位決定戦(対韓国)の中継など、はじめから観なかった。おかげで翌日の朝刊では、前者は1対1のままであり、 後者は0対0で、これからに期待する内容となっていた、カミさんの話を聞くまでは……。
 えッ、愛国心が足らないだって?! 話は一挙にそこまで行くのかしらん。 でも、選挙の場合は、無党派層に"愛党心"などはじめからないだろうに。

「ああ、参院選挙」その後
 時期が夏休みであったり、午後から天候が崩れても、投票率にはあまり響かなかったようだ。 しかし、参院不要論が言われて久しいが、相変わらずタレントや有名人、時の人など、政治と余りかかわりのない候補を担ぎ出し、 数を頼もうとするのも、またどの政党も代わり映えがしない。
 そんななか、さまざまな政党・候補者に寄せられた期待と失望はどのような結果をもたらすかはともかく、 裏方である選挙管理委員会もたいへんなようである。
 とくに過去3回の投票率が全国最下位だった茨城県では、名誉挽回か奇策かどうか、当たった人に抽選で10人に牛肉500グラムにメロン2個、 コシヒカリ5キログラムをセットでプレゼントする「目指せ!投票率アップ・ピッタリ作戦」のバクチの勧進元になった。
 いわく、目標投票率は前回を少し上回る52・5%に設定し、"前回を上回り、小数点下2位まで"予想するという、 かなり込み入った設定である。しかし、公示した日に約千件の応募があったというから、同選管のほくそえみたい気持ちも分からないでもないが、 これでは投票はしなくても賞品を手に入れることができるのだから、ご大層なニンジンをぶら下げるわりには、 あまり頭のよいやり方とは思えない。
 本来、投票率を上げることが目的なのだから、投票した人の中から抽選で、とシンプルにしたほうが、よりアップするのではないかしらん。
 というのも、このアイディアは数年前、私が思いついたもので、"公選法"に抵触するかどうか知らないが、投票入場券には、 通し番号がついている。それを利用するだけですむではないか。広く浅く、参加することに意義があるオリンピック精神で、やるべきであろう。
 さて、そんな選管の苦労も知らずに、勝った負けたといつのも泣き笑いが演じられる一方で、大敗にもみかかわらず、 安倍総理は早々と"続投"宣言をして退陣する気配もない。この潔くない態度は、その昔、オジイチャン岸首相が"声なき声"に耳を傾けた? 故事に倣ってのことかしらん。 唯我独尊は、遺伝子に"しっかり"組み込まれている?!

(以上、07年7月31日までの執筆)


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