「梶山季之」 ― 略歴と目次


梶山季之(かじやま としゆき 1930−1975)

 作家。韓国ソウル(旧・京城)生まれ、広島高等師範学校(現・広島大学)卒業。 在学中に、短編集『買っちくんねえ』(共著)を自費出版、1953年に上京後、『新思潮』等の同人に加わり、創作活動に励む。 やがて、「文藝春秋」にいくつもルポルタージュを執筆し、「週刊明星」と「週刊文春」の創刊時より関わり、ルポライターとして活躍、 "トップ屋"の異名を奉られる。

 1962年『黒の試走車』で作家としてデビュー、以後さまざまな分野の作品を発表し、 流行作家となる(1970年5月、文壇所得番付で1位。 この間、1963年に『李朝残影』が第49回直木賞候補となったが落選)。 71年7月、"活字にならなかったお話の雑誌"月刊「噂」を創刊(売れ行き不振とオイルショックによる印刷費等の高騰もあり、 74年2月第32号をもって休刊)。ライフワークの環太平洋小説「積乱雲」に取り組むなか、 1975年5月、取材先の香港で客死(食道静脈瘤破裂・肝硬変)。享年45。

 2年後の2005年は、梶山季之の没後30年に当たる。存命であれば、まだ75歳である。 若死には惜しいといえるが、天命でもある。
 しかし、昨年10月、川村湊編・解説による『李朝残影 梶山季之朝鮮小説集』 (インパクト出版会)が出版され、また同11月には中国新聞(広島)に、 「現代の伝説 第6部 梶山季之 積乱雲はるか」として、6回にわたり取り上げられるなど、 再び光をあてられ始めた。

 私自身は1997年7月、"助手"の目から見た、知られざる作家の素顔を書きとめた『梶山季之』 (日本経済評論社 20世紀の群像1)を上梓している。
 いま改めて、ここに第一部として、梶山に関する他の拙稿をいくつか再録し、 "助手"の目から見た"人となり"をお伝えするものである。 故人の業績・作品等の検証および再評価にいささかでも資すれば、"弟子"として望外の喜びである。 〈2003・5・11師の命日に記す〉

◎追記◎
 今年5月11日に、梶山季之の33回忌を迎える。
 その後の2年間の動きについては「電子版 梶山季之資料館」のトピックス等で紹介しているが、 5月11日には単行本「梶山季之と月刊『噂』」が松籟社(京都)より上梓される予定である。
 ついで、広島で5月20日および6月にシンポジウムや展示会など、梶山季之記念事業も予定されている。
 2年前にも記したが、これらの"事業"により、梶山季之とはどんな作家(人間)だったのか、日本人に何を訴えたかったのか、 若い人を含め改めて研究されることを望む次第である。
 2007・04・10橋本健午(ノンフィクション作家・「電子版 梶山季之資料館」管理人)


目次



〔文庫本+新書版の解説〕


梶山季之作品リスト ⇒「梶山季之資料館」へどうぞ


お問合せは・・・ kenha@wj8.so-net.ne.jp